行政書士 堀 己 喜 男
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リビング・ウィルのもとは英語のliving willです。
リビングは「生きている」あるいは「現生している」という意味であり、ウィルは「意思」あるいは「遺言」のことです。
世界で一番権威のあるとされるオックスフォード英語辞典では、「重病になり自分自身では判断ができなくなる場合に、治療に関しての自分の希望を述べておく書類、特に、医師たちに治療を中止し死ぬにまかせてくれるよう依頼する書類」と書かれています。
「生前遺言状」や「生前発行遺言状」などと訳されていることもあります。
これらより、
「終末期の医療やケアについての意思表明書」
という訳語が適切であると思います。
リビング・ウィルは、終末期における延命治療に関して、必ずしも中止だけを希望するものではありませんので、「尊厳死の宣言書」とは、やや趣の違ったものといえます。たとえば、全力を尽くし、できる長く延命治療を続けて欲しいと書き残しておくこともできるのです。
老後を、家族にも誰にも迷惑をかけることなく、ピン・ピンと元気に長生きして、最期はコロリと死ぬのは、誰もが願うこと。
ピン・ピン・コロリとは、死ぬ直前までは元気で健康な生活を送っていること意味します。しかし、日本が世界一の長寿国であっても、現実はそうはうまくいきません。救急医療の発達した日本では、コロリと逝くのはたいへん難しいのです。
もし、皆さんのまわりで誰かが倒れたとしたらどうされますか?
直ちに救急車を呼ぶと思います。救急病院に到着すると、そこでは、たとえ患者さんが意識をなくしていても、命を救おうと最大限の努力がなされます。もし、呼吸ができなくなっていれば、気管に管を入れて人工呼吸器につなぎ、機械的に呼吸補助をします。したがって、突然心臓がとまるようなことがないかぎり、皆さんが望むように、コロリと死ぬことはめったにありません。
また、もしあなたが高齢になり、意識もなくなり、人工呼吸器なしでは呼吸も出来ない状態に陥ったとしたら、どうでしょうか。飲むことも食べることもできなくなれば、普通は数日の内に静かに息を引きとります。しかし、点滴で栄養や水分を補給したりすれば、生き続けることは可能です。しかも、呼吸できない状態になっても、人工呼吸器を装着して器械の力で呼吸をさせるなら、心臓さえ動いていれば、いつまででも生き続けられます。
あなたが高齢になり、認知症になったときも同じです。認知症が進行し、自分では全く食べることもできなくなっても、胃ろうや鼻から通したチューブを使って栄養補給をすれば、いつまででも生き続けられます。でも、あなたが、このような形で無理やり生き続けるのは絶対嫌だと思っていても、認知症になったあなたは自分の意思を伝えることができませんから、そのままズルズルと栄養補給が続けられるのが普通です。
ほとんどの方は、そんな形で無理やり延命されるのは絶対に嫌だと考えていると思います。
しかし、このような延命治療が、わが国の医療や介護の現場では日常的に行われていることは衆知の事実です。私のまわりの同年代の人たちは、親を看取ったときに辛い経験をしている場合が多く、自分の場合には絶対あのような形で無理やり延命されたくないと言っています。だからこそ、ピン・ピン・コロリ願望が広がっているわけです。
本人が望まないのに、なぜ無理やり延命させるのかという疑問に対する答えは簡単です。
現在、わが国の医療は尊厳ある生命をできる限り維持することを至上命令としており、誰であっても生命を短くすることはできないからです。医師も看護師もそのように教えられており、また日本の社会や法律もそれを要求しています。ですから、たとえ見かねた家族が延命治療の中止を希望したとしても、医療側としても 簡単に実行できることではありません。それどころか、現状では、医師が法律で罰せられることになりかねません。
ただし、無意味な延命治療を止めることのできる、たった一つだけの例外があります。
それは患者さん自身が延命治療の中止を希望され、その意思を表明されている場合です。「リビング・ウィル」と言われるものです。
そして、コロリとまではいかなくても、家族にも、できるかぎり迷惑をかけることなく、静かに逝くにはどうしたらよいか。
できるだけ誰にも迷惑をかけないで死を迎えるベストな方法は、理性的に物事を判断できるあいだに、「このような事態がおきたときには、こうして欲しい」と、自分の意思を書き残しておくことです。
すなわち、リビング・ウィル、つまり「終末期の医療とケアについての意思表明書」を書き残すことです。これがないと、コロリは絶対無理な上に、子どもや家族に長いあいだ迷惑をかけることになるのは間違いないでしょう。
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