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2017-04-27 09:32

相続税 小規模宅地等の特例とは


【相続税】 小規模宅地等の特例とは 
相続税の各種特例のうち最重要と言っても過言ではない特例が、「小規模宅地等の特例」です。小規模宅地とあるのでなんとなく土地に関する特例だろうな・・・というのはわかると思います。小規模宅地等の特例についてわかりやすく解説します。

1)概要
小規模宅地等の特例とは、
被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地について、一定の要件を満たす場合には、80%又は50%まで評価額を減額してあげますよという特例です。

例えば、
被相続人の自宅の敷地の相続税評価額が1億円だったとします。この土地につき小規模宅地等の特例を適用すると2,000万円の評価で相続税を計算することが出来るのです。

被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地は、相続人の生活基盤となる非常に重要な財産であり、このような財産に全て相続税をかけてしまうと相続後の相続人の生活を脅かす可能性もあるため、このような大幅に評価額を減額できる特例措置が設けられています。

2)要件 ステップ1
最大で80%も評価額を減額できるこの特例ですが、要件が非常に複雑です。要件を満たさないと相続税額が何千万円も増加してしまう可能性があるのでしっかり確認しましょう。

① “被相続人”又は“被相続人と同じ財布で生活していた親族(専門用語で生計一親族と言います)”(以下、この2つを合わせて「被相続人等」と言います)の事業又は居住の用に供されていた宅地等(土地だけでなく借地権等も含みます)であること
② その宅地等が建物又は構築物の敷地であること

この2つの要件を満たして初めて次のステップに進めます。この2つの要件を満たさないとそこで終了です。

3)要件 ステップ2
次のステップは、宅地の種類によって要件が異なります
上記2つの要件を満たした人だけがこのステップ2の要件を確認できる権利があります。

それでは宅地の種類ごとに解説していきたいと思います。

①特定居住用宅地等
被相続人等が住んでいた宅地の要件です。
被相続人が住んでいた宅地と被相続人の生計一親族が住んでいた宅地の2つに分けて要件を確認します。

a. 被相続人が住んでいた宅地
  下記に掲げる人が相続した場合のみ適用があります。
    イ 被相続人の配偶者(居住要件、所有要件共になし)
    ロ 被相続人と同居していた親族(居住要件、所有要件共にあり)
    ハ 被相続人と同居していないが下記要件を満たす親族(所有要件のみあり)
      ・被相続人に配偶者がいないこと
      ・被相続人と同居している相続人がいないこと
      ・被相続人が亡くなる前3年間、日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する
       家屋に居住したことがないこと
b. 被相続人の生計一親族が住んでいた宅地
    下記に掲げる人が相続した場合のみ適用があります。
    イ 被相続人の配偶者(居住要件、所有要件共になし)
    ロ 被相続人の生計一親族(居住要件、所有要件共にあり)

※ 上記( )書きの居住要件とは申告期限までその親族がその宅地等に居住している必要があり、所有要件とは申告期限までその親族がその宅地等を所有している必要があることを意味します。

②特定事業用宅地等
被相続人等(生計一親族も含みます)が事業(貸付事業を除きます)をしていた宅地の要件です。
こちらは、特定居住用宅地等よりは要件が簡易的で、下記の2つの要件となります。

  イ 事業継続要件
    被相続人の事業を申告期限までに引き継ぎ、かつ、事業を申告期限まで継続すること
  ロ 保有継続要件
    その宅地等を申告期限まで保有すること

③特定同族会社事業用宅地等
一定の法人の事業(貸付事業を除きます)をしていた宅地の要件です。なお、一定の法人とは、被相続人や被相続人の親族により支配されている(50%超所有)法人を言います。主な要件は下記のとおりです。
   イ 賃貸借要件
     その法人に対して相当な対価でその宅地又は建物を賃貸していること
ロ 法人役員要件
     その宅地等を取得した親族が申告期限においてその法人の役員であること
   ハ 保有継続要件
     その宅地等を申告期限まで保有すること

④貸付事業用宅地等
   被相続人等(生計一親族も含みます)が貸付事業をしていた宅地の要件です。
   イ 事業継続要件
     被相続人の貸付事業を申告期限までに引き継ぎ、かつ、貸付事業を申告期限まで継続すること
   ロ 保有継続要件
     その宅地等を申告期限まで保有すること

4)限度面積と減額割合
 小規模宅地等の特例の要件を確認しましたが、上記要件を満たしたら無制限に減額できるわけではありません。特例の適用できる面積の上限が宅地の種類に応じて下記のように決められています。
なお、平成25年度改正で平成27年1月1日以降相続開始分について限度面積等が拡充されました。


◆ 平成26年12月31日以前相続開始分
① 特定居住用宅地等
限度面積 240㎡(約72坪)
減額割合 80%
②③ 特定事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等
限度面積 400㎡(約121坪)
減額割合 80%
④ 貸付事業用宅地等
限度面積 200㎡(約60坪)
減額割合 50%
※ 上記2以上の種類を併用して適用する場合の限度面積の計算は下記の算式に当てはめて計算します。
   ①×5/3+②③+④×2≦400㎡

◆ 平成27年1月1日以降相続開始分
① 特定居住用宅地等
限度面積 330㎡(約100坪)
減額割合 80%
②③ 特定事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等
限度面積 400㎡(約121坪)
減額割合 80%
④ 貸付事業用宅地等
限度面積 200㎡(約60坪)
減額割合 50%
※ ①と②③に合わせて最大で730㎡まで適用が可能になりました。(①と②③は完全併用適用が可能)
※ ④を適用する場合の限度面積の計算は下記の算式に当てはめて計算します。
①×200/330+②③×200/400+④≦200㎡

小規模宅地等の特例Q&Aはこちら→PDF

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