相続の方法、『単純承認』『限定承認』『相続放棄』の3つの承認方法について
相続には、最も一般的な相続の方法である、「単純承認」のほかに「相続放棄」、「限定承認」という方法があるのをご存知ですか?
① 単純承認 (たんじゅんしょうにん)
単純承認とは、
被相続人の一切の財産を無制限に引継ぐ方法で、最も一般的な相続の方法です。
この場合は、とくに特別な手続をする必要はありません。よって、相続開始後3ヶ月以内に相続放棄や限定承認の手続をとらなかった場合には、自動的に単純承認をしたものとみなされます。
単純承認となった場合は、被相続人の債務がある場合には、自己の財産からも返済しなければならなくなります。
単純承認の意思がなくても、次のような事実があった場合には、単純承認をしたものとみなされる可能性がありますので注意して下さい。
ア.遺産の全部または一部を処分したとき。
※ 葬儀費用を相続財産から支払った場合、身分相応の、当然営まれるべき程度の葬儀費用であれば、単純承認には当たらないとする判例。(東京控院昭11.9.21)
イ.3ヶ月の期間内に限定承認も相続放棄もしなかったとき。
ウ.限定承認や相続放棄をしたとしても、遺産の全部または一部を隠していたり、債権者に隠れて消費したり、遺産を隠すつもりで限定承認の財産目録に記載しなかったとき。
② 限定承認 (げんていしょうにん)
限定承認とは、
プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引継ぐという条件付で相続を承認する方法です。つまり遺産を清算した結果、もし借金だけしか残らないような場合には不足分を支払う必要はなく、逆に借金を支払ってなお余りが出た場合にはその余った財産を受け継ぐことができます。
遺産がプラスになるかマイナスになるかわからないようなときに有効な相続方法です。
限定承認は、相続放棄者を除く他の相続人全員がそろって行わなければならず、もし相続中1人でも単純承認をした人がいる場合は、限定承認を選択することはできません。
限定承認の手続は、相続開始を知った時より3ヶ月以内に、家庭裁判所に限定承認申述書を提出して行います。限定承認手続では、相続財産管理人の選任や財産目録の作成、公告手続や債権者への返済など複雑な手続を行わなければなりません。
申立をする際は、事前に弁護士や司法書士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。
裁判所HP
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_14/
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③ 相続放棄
相続では、預貯金や不動産といったプラスの財産だけではなく、借金や、連帯保証人としての責任などもすべて承継することになります。
被相続人のマイナス財産が多い時などに全面的に財産の相続を放棄することができます。
また、他の相続人の相続分を増やすために相続放棄をするケースもあります。
相続を知ってから3か月(熟慮期間)以内に
家庭裁判所に申述(亡くなった方の最後の住所地管轄家庭裁判所へ)しなければいけません。
ただし、3ヵ月の熟慮期間内に相続財産の状況を調査しても、なお決定できない場合には、家庭裁判所への申立てにより、この3ヵ月の熟慮期間を伸長することができます。
相続人全員が放棄してしまったら、法定相続人以外の親族が相続人になることに注意してください。新たに相続人になった親族も相続放棄するケースが多いと思います。
裁判所HP
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_13/
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