無事に設立の登記が完了したら、待ちに待った会社の誕生ということになります。
金融機関に預けてある出資金を口座から出金するためには会社の謄本が必要になりますし、
諸官庁への手続きなどでも会社の謄本は必要になりますので、会社の謄本と印鑑証明書を多めに取得しておきましょう。
会社の謄本の交付の方法は、法務局(登記所)にある所定の申請書に必要事項を記載して提出します。
なお、会社の謄本の交付手数料は1通につき700円になります。
印鑑証明書の交付の方法は、法務局(登記所)によっていくつかの方法があります。
法務局に確認の上、所定の申請書に必要事項を記載して提出しましょう。
なお、印鑑証明書の交付手数料は1通につき500円になります。
また、印鑑カードの交付は義務ではありませんが、今後、印鑑証明を取得する際に便利なので作っておきましょう。
官公庁への届出
会社を設立した場合に届け出が必要な諸官庁は・・・
ア. 税金関係で、税務署、市区町村役場及び県税事務所(東京23区は、都税事務所)、
イ. 保険関係で、労働基準監督署、ハローワーク、社会保険事務所です。
以下に提出先別に必要な提出書類と提出期限について解説していきます。
ア. 税金に関する届出
ここでは税金に関係する届け出について説明をしていきます。 なお、国に納める税金(法人税及び消費税)に関する届け出先が税務署になり、地方税(住民税及び事業税)に関する届け出先が市区町村役場及び県税事務所(東京23区は、都税事務所)になります。 |
◇ 税務署への届け出
会社を設立した場合には、法人税や消費税など国に納める税金に関する届け出を所轄の税務署にしなければなりません。
提出期限はそれぞれ異なりますが、何度も足を運ぶ手間を省くためにも書類は一度に作成しましょう。
1. 法人設立届出書(税務署所定の用紙) |
会社が設立されたことを税務署に届け出る書類です。税務署所定の用紙に必要事項を記入し 法人設立届出書には、 |
2. 給与支払事務所等の開設届出書(税務署所定の用紙) |
給与を支払うべき従業員を雇っている会社にのみ必要とされる手続きです。 提出期限は設立の日から1か月以内です。添付書類は必要ありません。 |
3. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 |
毎月、源泉徴収を納付する手間が大変だというような場合で、従業員が10名未満の会社で |
4. 青色申告の承認申請書(税務署所定の用紙) |
青色申告は通常の申告に比べて税務上のメリットが大きい制度ですので、ぜひ手続きを すべきでしょう。 提出期限は会社設立の日以後3か月経過日と最初の事業年度終了日のうちいずれか早 い日の前日までです。 通常の場合は添付書類の必要はありません。 |
5. 棚卸資産の評価方法の届出書(税務署所定の用紙) |
決算期ごとの商品の在庫をどのように評価するかを税務署に届け出る書類です。 提出期限は最初の事業年度の確定申告書の提出期限までです。添付書類は必要ありま せん。 棚卸資産をどう評価するかによって利益に影響する場合もありますので慎重に決定する 必要があります。 また、業種によっても選択すべき方法も異なりますので、選択に迷った場合やわからない 場合には、税務署の窓口で聞いてみましょう。 |
6. 減価償却資産の償却方法の届出書(税務署所定の用紙) |
年々消耗していくような資産(例えば自動車など)をどのように評価するかを税務署に届け 出る書類です。 提出期限は最初の事業年度の確定申告書の提出期限までです。添付書類は必要ありま せん。 原価償却資産をどう評価するかによって利益に影響する場合もありますので慎重に決定 する必要があります。 また、業種によっても選択すべき方法も異なりますので、選択に迷った場合やわからない 場合には、税務署の窓口で聞いてみましょう。 |
税務署でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
また、わからないことがありましたら税務署の窓口で聞いてみましょう。
◇ 市町村役場及び税事務所への届け出
なお、東京都23区内と他の道府県で届け出様式と提出期限が異なります。
● 東京都23区内の場合
事業開始日から15日以内に都税事務所で
事業開始等申告書(都税事務所所定の用紙)を提出することになります。
添付書類として定款の写しと会社の登記簿謄本が必要になります。
なお、都税事務所でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
また、わからないことがありましたら都税事務所の窓口で聞いてみましょう。
● 他の道府県の場合
会社設立の日から1か月以内に県税事務所及び市町村役場に
法人設立等申告書(税事務所所定の用紙)を提出します。
添付書類として定款の写しと会社の登記簿謄本が必要になります。
なお、道府県税事務所及び市町村役場でいただける記載要領を参考にしながら作成してい
くとよいでしょう。
また、わからないことがありましたら県税事務所及び市町村役場の窓口で聞いてみましょう。
ここでは保険に関係する届け出について説明をしていきます。
ア. 労働基準監督署、ハローワーク
会社を設立して従業員を一人でも雇用した場合には労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険の適用が義務付けられます。
労災保険とは従業員がケガをした場合に給付が受けられるもので、雇用保険とは従業員が失業したときに給付が受けられる
というものです。
この2つを総称して労働保険と呼びます。
労働基準監督署で労災保険の加入手続きを、ハローワークで雇用保険の加入手続きをしましょう。
労働基準監督署で提出した書類がハローワークで必要になりますので、まず労働基準監督署で手続きをし、次にハローワークへ
行きましょう。
・労働基準監督署への届け出
雇用の状況などを労働基準監督署に届け出て、労災保険の加入手続きをします。
提出期限は従業員を雇用した日の翌日から10日以内ですので速やかに行ってください。
提出書類は以下のとおりです。
1. |
保険関係成立届(労働基準監督署所定の用紙です。) |
2. |
概算保険料申告書(労働基準監督署所定の用紙です。) |
以上の書類の提出と同時に以下の書類の提示が必要になります。 |
|
3. |
会社の謄本 |
4. |
従業員名簿 |
5. |
賃金台帳 |
6. |
出勤簿(タイムカード可) |
*その他、ケースによって上記の他にも提出書類が必要になってくる場合もあります。細かいことについては所轄の労働基準監督署の窓口で聞いてみましょう。なお、労働基準監督署で渡されるパンフレットを参考にしながら作成していくといいでしょう。
・ハローワークへの届け出
労働基準監督署に保険関係成立届を提出し終わったら、次はハローワークです。
こちらも従業員を雇用した日の翌日から10日以内が提出期限なので、すみやかに行ってください。
提出書類は以下の通りです。
1 |
適用事業所設置届(ハローワーク所定の用紙です。) |
2 |
資格取得届(ハローワーク所定の用紙です) |
3 |
保険関係成立届(労働基準監督署の受付印のあるもの) |
上記の書類の提出と同時に以下の書類の提示が必要になります。 |
|
4 |
雇用従業員が以前雇用保険の被保険者であったときは被保険者証 |
5 |
会社の登記簿謄本 |
6 |
従業員名簿 |
7 |
賃金台帳 |
8 |
出勤簿(タイムカードでも可) |
9 |
労働保険関係成立届の控え(労働基準監督署の受付印のあるもの) |
※その他、ケースによって上記の他にも提出書類が必要になってくる場合もあります。
イ.社会保険事務所への届出
病気やケガで医者にかかる場合に給付が受けられる健康保険、介護に備える介護保険、老後の生活保障を受けられる
厚生年金の3つを総称して社会保険と呼びます。
会社の場合は、その規模にかかわらず、すべての事業所で社会保険の加入が義務づけられています。
提出期限は、いつまでといった明確な期限は定められてはいませんが、事業を開始しましたら、
すみやかに手続きを済ませておきましょう。
なお、社会保険の手続きは、所轄の社会保険事務所に備え付けの用紙に必要事項を記入して提出いたします。
提出書類を作成していて、わからないことがありましたら社会保険事務所の窓口で聞いてみましょう。
※ 社会保険事務所への提出書類は 以下のとおりです。
1 |
新規適用届(社会保険事務所所定の用紙です。) |
2 |
新規適用事業所現況書(社会保険事務所所定の用紙です。) |
3 |
被保険者資格取得届(社会保険事務所所定の用紙です。) |
4 |
被扶養(異動)届(社会保険事務所所定の用紙です。) |
5 |
会社の謄本(交付後3か月以内) |
6 |
賃貸契約書の写し(事務所が賃貸である場合のみ必要です) |
7 |
預金口座振替依頼書(社会保険事務所所定の用紙です。 銀行で口座番号の証明印を受けてください) |
以上の書類の提出の際に以下の書類の提示が必要になります。 |
|
8 |
出勤簿(タイムカードでも可) |
9 |
労働者名簿(市販の用紙) |
10 |
賃金台帳(市販の用紙) |
11 |
源泉所得税の領収書 |
※ その他、ケースによって上記の他にも提出書類が必要になってくる場合もありす。
細かいことについては所轄の社会保険事務所の窓口で聞いてみましょう。