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遺産争族なぜ財産が少ない家族ほど揉めるのか


普通の家庭の方がリスク大
遺産争族、なぜ財産が少ない家族ほど相続による争いが起きるのか?

相続
トラブルの7割以上が相続税のかからない家族、相続財産がないと思っている家庭ほど揉める現実...
 
平成27年1月、相続税の基礎控除が大きく引き下げられ、これまで「相続税なんて、お金持ちの話」と安心していた方々にも油断できない事態に陥ってしまいました。しかも、その新たに相続税を払わなければならない方にこそ深刻な問題が潜んでいるのだとか?
相続による争いというと、愛人、隠し子など資産家にありがちな問題と思っている人が多いのではないでしょうか? 

しかし実際は、遺産が少ない家庭のほうがトラブルの発生することが多いのです。
平成24年度の最高裁判所のデータによると、
遺産分割案件で揉めている人
32%は、相続財産が1000万円以下43%は5000万円以下の人です。
つまり、全体の75%は相続財産が5000万円以下の人となります。
現在の相続税の基礎控除が5000万円+1000万円×相続人の数ですから、揉めているケースのほとんどが、相続税のかからない人たちなのです。「相続財産がないと思っている家庭ほど揉める」というのが現実です。
 
では、相続財産5,000万円以上の人はなぜトラブルの発生率が低いのか、
.....それは専門家のアドバイスを受けているからです
日本における資産家というとオーナー社長と開業医が代表格です。この方々には、顧問税理士や顧問弁護士がついています。専門家から相続に関する基本知識を得ることができる為、贈与や生命保険などを使った対策を計画的に行え、遺言もしっかり残していたりします。
税理士や弁護士であれば誰でも相続に精通しているとは言えませんが、身近に相談できる専門家がいるのは有利といえます。
これに対して普通のサラリーマンなどは、税理士や弁護士と接する機会も少なく、相続に関する知識を持っている人は多くありません。遺言を残す人も少ない為、相続対策どころか、遺族が両親の相続財産について正確に把握していないこともあります。こうしたことが、引き金になり相続争いが発生します。
遺産に関する話し合いは「争族」にならないよう、できれば円満に解決したいものです。
 
そもそも、相続で揉めるのは「金銭の勘定」ではなく「心の感情」
相続人の間で互いに納得していても、その相続人には配偶者がいます。そして、話をややこしくしているのは、意外にも、その配偶者。つまり、第三者です。「お隣に聞いたけど、こんなケースはもっともらえるらしいわよ」や「会社の顧問弁護士に相談してみようか」など、当事者以外の人が話を複雑にしてしまうケースが非常に多く見受けられます。
「縁遠い関係者が増えれば増えるほど揉める」という実態があります。
 
そして、相続で揉めるのは「金銭の勘定」ではなく「心の感情」であるケースが多いのです。
遺産分割協議書の押印時に話を聞いていると、どんどん話が逸れることがあります。
「お義父さんの面倒を今まで必死でみてきたのに、私は1円も貰えない」
「兄は私立の医学部に入れてもらったのに、私は公立大学でアルバイトもしてきた」
「小さい頃、父と一緒に○○さんを尋ねると、いつも無視されていた。それが許せない」など。
取引先同士なら金銭問題も折り合うところを見つけられますが、相続人は「身内」であるために、取引とは全く違った「感情」が入り混じります。
そして「なぜ今、そんな話を持ち出すのだろう」ということが多々起こります。「相続」というキーワードがきっかけで、今までの思い、辛かった出来事、不満が溢れ出すという感じです。

…「相続」で争いの原因になるポイントとして3つ
 
①《「分けられない財産」でモメる!》
相続財産の大半を不動産が占めることが最大の要因。

一般家庭に多いのが「財産は自宅の不動産だけ」というケース。
相続財産の額が少ない人ほど、遺産の中に占める不動産の割合が高くなります。このことが最大の要因だと考えられます。不動産を均等に分割するのは難しいからです。売却して現金に換えることはできますが、長年住んできた家を手放すことに抵抗を感じる人は多いのでなかなか決断できません。また共有名義にした場合も、扱いを巡って意見の相違が発生しがちです。
 資産家であれば、不動産以外にも預貯金や株、ゴルフ会員権などの分配可能な資産を多数持っています。子供が2人いて1人が土地と家を引き継いだ場合、もう一人には不動産価格に匹敵する財産を現金などで与えることが可能です。現金が不足する場合は、生命保険を使って補っていたりします。
 
不動産を相続人で分ける場合、主に「現物分割」「換価分割」「代償分割」の3つの方法があります。
・【現物分割】とは、自宅は長男に、投資用マンションは次男に……と、財産をそのままの姿で相続する方法。
・【換価分割】とは、不動産を売ってお金に変え(換価)、相続人で分配すること。
・【代償分割】とは、特定の相続人が不動産を相続する代わり、ほかの相続人に相当の代償金をはらうことです
ですが、話がまとまらず、よくとられるのが、不動産を複数の人で共有する方法。「これは極力、避けるべき!」です。
「共有者に相続が発生したら、ねずみ算的に相続できる人間が増え、意見がまとまらなくなってしまい、結果、永遠に売れない財産になり、固定資産税だけを払い続ける羽目に・・・」
 
扱いが厄介な不動産ですが、相続税対策という観点では利点があります。
土地の相続税評価額で用いられる路線価は、実際の不動産取引時価の8割程度が目安とされているからです。したがって土地を現金化するよりそのまま所有していたほうが相続税を節税できます。
また不動産については、いくつか優遇制度も設けられており、そのうちの一つは“小規模宅地等の特例“という制度です。小規模宅地等の特例は、居住用の土地の面積が330m2以下の場合、相続する人がその土地に住んでいれば、路線価の80%減額できます(他にマイホームを持っていない等の条件あり)。1億円の評価がついた土地でも2千万円まで減額できます。
また、この制度にも争いを引き起こす種があります。両親が亡くなった後の二次相続で子供が複数いる場合、土地と家を引き継いだ子とそれ以外の子では、著しい不公平感が生じるからです。引き継げなかった人に不動産価格に該当する現金を用意してあげればよいのですが、その現金をなかなか用意できないため相続争いの一因に…。
 
②《生前「親にしてもらったこと」でモメる!》

生前、親から援助してもらったおカネも、争続の原因に。ここで関係してくるのが「特別受益の持ち戻し」という制度だ。これは親が生きているうちにもらった財産についても、相続のときに考慮しましょうという制度。
「特別受益」とみなされれば、その額は相続できる財産と相殺(持ち戻し)される。
条件は2つ。
被相続人から相続人に与えられた財産であることと、それが生計の資本になるおカネだったということだ。
「つまり、息子の嫁に生前、おカネをあげたとしても、相続人ではないので特別受益に当たりません。
また、もらったおカネを生活費として使ってしまうと、特別受益として相続時に持ち戻しの対象になるという点に注意を。違和感があると思いますが、マイホーム購入資金や失業中の生活費が特別受益にあたる一方で、海外旅行やぜいたく品の購入などは、特別受益にはならないのです」
 
③《生前「親にしてあげたこと」でモメる!》

介護などで、ほかの相続人以上に被相続人の面倒を見てきた、と主張する人もいるはず。
ここで焦点になるのが「寄与分」。
「寄与分とは、親の事業を手伝うなど、財産の維持や増加に特別な貢献をした場合、ほかの相続人より多く遺産を受け取れる、というもの。しかし、親に対する介護は当然の貢献とみなされ、特別な犠牲を払って初めて、考慮されるかもしれないという程度です」
 
また、寄与分を主張できるのは相続人のみ。長男の嫁が懸命に介護しても、主張さえできない。
そこで、重要になってくるのが遺書になります。
「優しく世話をしてくれたお嫁さんや、籍は入れなかったものの、晩年をともに過ごしたパートナーに遺産を譲りたい場合などは、その意志を遺書に残すことになります。遺書の内容は、相続人同士で行われる遺産の分割協議の内容より、優先されます」
 
 
■ 回避策を考えてみます。
 
いったん「争族」となると、財産だけではなく、大切な家族をも失ってしまうことになりかねません。
相続で揉めないためには、普段から、家族のコミュニケーションをよくはかり、互いの距離を埋めておくことがとても大切です。記念日などに会う機会を増やすことなどから始め、遺書に残すことや、エンディングノートを一緒に気楽に書くことなども良いと思います。
 
※ここで注意が必要です。
遺言だけを書けば対策は万全でしょうか?
相続関連のセミナーなどで必ず勧められるのは、遺言やエンディングノートの作成です。
遺言がないよりは、あったほうが相続による争いを減らすことはできます。しかし遺言だけでは十分ではありません
 土地を守りたいのか、残された家族が争うことがないよう公平に財産を分配したいのか、あるいは相続税を軽減したいのかといった目的を明確にする必要があります。特に相続財産の大半が不動産という家族では、土地や家をどうしたいのか決めてから、遺言を作成したほうがトラブル回避につながります。
 
これが、
相続トラブルの7割以上が相続税のかからない家族、相続財産がないと思っている家庭ほど揉める現実です。
他人事ではなく、早いうちに争いのない相続対策をしておきましょう


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