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農地等の賃貸借をやめるには。

◇ 農地等の賃貸借をやめるには(農地法第18条)


1.  農地の賃貸借契約の解除、解約の申入れ、合意による解約、賃貸借の更新しない旨
     の通知を行って農地等の賃貸借をやめるには、知事の許可を得る必要があります。
     (農地法18条1項)
     ただし、つぎのいずれかに該当する場合は必要ありません。(同項各号)

 ☆ 許可がいらない場合の主なもの
 a

解約の申入れ、合意による解約、賃貸借の更新しない旨の通知が信託事業に係る信託財産につき行われる場合(ただし細かな条件があります)

 b

合意による解約が、その解約によって農地等を引き渡すこととなる期限前6か月以内に成立し た合意であって、その旨が書面において明らかである場合又は民事調停法による農事調停によって行われる場合

 c

賃貸借の更新をしない旨の通知が、10年以上の期間の定めのある賃貸借(解約する権利を留 保しているもの及び期間の満了前にその期間を変更したものでその変更した時以降の期間が10 年未満であるものを除く。)又は水田裏作を目的とする賃貸借につき行われる場合


 

2. この許可は、次のような事由がある場合にだけ認められ、単に「農地を売りたい
     が、賃貸借があるのでは売りにくいから
」といった理由だけでは認められません。
     (同条2項)

 

a

賃借人が信義に反した行為をした場合

b

農地等を農地等以外のものにすることを相当とする場合

c

賃借人の生計、賃貸人の経営能力等を考慮し、賃貸人がその農地等を耕作又は養畜の事業に供することを相当とする場合

d

賃借人である農業生産法人が農業生産法人でなくなった場合、農業生産法人の構成員となっている賃貸人がその法人の構成員でなくなり、その賃貸人(世帯員等を含む)が許可を受けた後において耕作等の事業に供すべき農地等のすべてを効率的に利用して耕作等の事業を行うことができると認められ、かつ、その事業に必要な農作業に常時従事すると認められる場合

e

その他正当の事由がある場合

 

 

3. 許可が必要なのに許可を受けないでした行為は、その効力を生じません
     (同5項)

 

4. 農地等の賃貸借をやめた場合に、知事の許可を必要としないで行われた場合には、
     これらの行為をした者は、農業委員会にその旨を通知しなければなりません。
     (同6項)

 

5. 農地法17条又は民法617条若しくは618条の規定と異なる賃貸借の条件で、
     これらの規定による場合に比べて賃借人に不利なものは、定めないものとみなさ
     れます。(同7項)

 

(農地法17条の規定の要旨)

  • 農地等の賃貸借について、期限の定めがある場合において、その当事者が、その期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新しない旨の通知をしないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。
 

(民法617条の規定の要旨)

a. 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申入れができる。この場合には賃貸借は解約の申入れから土地については1年を経過したときに終了する。

b.  収穫季節がある土地の賃貸借については、その季節の後から次の耕作に着手する前までに解約の申入れをすることが必要である。

 

(民法618条の規定の要旨)

  • 当事者が賃貸借の期間を定めたが、その一方又は各自がその期間内に解約をする権利を留保していたときは、前条の規定を準用する。

 

6. 農地等の賃貸借につけた解除条件(ただし、農地法3条3項1号及び農業経営基盤
      強化促進法18条2項6号に既定する条件を除く。)又は不確定期限は、つけないも
   のとみなされます
。(同8項)

 

 

解除条件とは例えばもし現在行方不明の息子が帰ってきたら農地の賃貸借を終了する、といったように、将来発生するかどうか判らない事実が発生した時に、自動的に賃貸借関係が消滅することを定めた条件です。

不確定期限とは例えば賃貸人が死亡した時は農地の賃貸借を終了する、といったように、  将来発生することは確実であるがその時期がいつであるか判らない事実が発生した時に、農地の賃貸借関係が自動的に消滅することを定めた条件です。