成年後見人を途中で変えることが出来るのか?
法定後見の場合と任意後見の場合で解任手続きが異なりますが、解任することは可能です。
■ 法定後見の場合
成年後見人等に
① 不正な行為、
② 著しい不行跡、
③ その他後見の任務に適しない事由があるときには解任されます。
解任は、家庭裁判所が職権で行うか、
①本人、
②後見監督人(任意後見監督人も含む)、
③本人の親族、
④検察官の請求(申立て)によってすることができます。
・不正な行為とは・・・
本人の財産を横領したり、私的に流用するなどの財産管理に関する不正です。
・著しい不行跡とは・・・
品行や素行が悪く、その行状が本人の財産管理に危険を生じさせるなど、成年後見人等の適格性を欠くと判断できる場合です。
・その他後見の任務に適しない事由とは・・・
成年後見人等の権限の濫用、管理失当、任務の怠慢などのことです。
法定後見人の解任手続き
家庭裁判所に成年後見人(保佐人・補助人)の解任を求める申立てをし、家庭裁判所が解任事由の存在を認めて、解任の審判をすることにより、解任の効力が生じます。
家庭裁判所調査官は、成年後見人(保佐人・補助人)に解任事由があると思えたときは、家庭裁判所に報告しなければなりません。
<解任の申立手続>
- 申立権者: 成年後見監督人(保佐監督人・補助監督人)、本人、その親族、検察官
- 管 轄: 成年後見人(保佐人・補助人)の住所地の家庭裁判所
- 申立手数料 成年後見人(保佐人・補助人)1名につき収入印紙800 円
- 登記手数料 2,000円
- (添付書類 )
- (1)戸籍謄本 申立人・本人・成年後見人(保佐人・補助人)
- (2)住民票 申立人・本人・成年後見人(保佐人・補助人)
- (3)登記事項証明書
■ 任意後見の場合
任意後見契約は、信頼関係の喪失などを理由に解除することは可能ですが、任意後見監督人の選任の前と後では手続が異なります。
1.任意後見監督人選任前
本人、任意後見受任者のいずれかでも解除することが可能です。
解除は、公証人の認証を受けた書面によって行います。解除の理由は記載しなくても構いません。 認証を受けた書面は、内容証明郵便で相手方に送付し、到達した時に契約が解除されます。
2.任意後見監督人選任後
任意後見監督人が選任されているということは、本人の判断能力が低下し、本人を保護しなければならない状況にあるということですので、自由に解除することはできません。
したがって、正当な理由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、解除することになります。 たとえ、合意の上での解除であっても、家庭裁判所の許可が必要です。
正当な理由とは・・・
① 信頼関係の破綻、
② いずれかの転居による任意後見人の執務不能、
③ 任意後見人の心身状況による執務不能、
④ 任意後見人の契約違反などがあげられます。
任意後見契約を解除した場合には、終了の登記をしなければなりません。
任意後見契約を解除してそのままにしておくと、取引の安全が保たれませんし、新たに任意後見契約を締結するときや、法定後見制度を利用するときに困ります。
任意後見人の解任手続き
1.任意後見人辞任・解任
任意後見人は、正当な事由がある場合は、家庭裁判所の許可を得て、辞任することができます。
また、任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、任意後見監督人、本人、その親族又は検察官の申立てにより、解任することができます。
辞任や解任があると、実質的に任意後見契約は解除されることになります。
2.任意後見監督人の辞任・解任
任意後見監督人は、正当な事由がある場合は、家庭裁判所の許可を得て、辞任することができます。
また、任意後見監督人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、他の任意後見監督人、本人、その親族又は検察官の申立てにより、又は職権で解任することができます。
任意後見監督人が欠けた場合には、家庭裁判所は、本人、親族若しくは任意後見人の請求により、又は職権で、任意後見監督人を選任します。
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