亡くなられた方の遺品を整理していたら遺言らしきものを発見した場合家庭裁判所で検認の手続をします。
★ 開封は検認の時までしてはいけません。
頼まれて遺言書を預かっていた人や、遺言書を発見した相続人は、相続が発生すると速やかに家庭裁判所に対して
「検認の申立」をしなければなりません。
これは、遺言書の存在を相続人全員に知らせて内容を確認することで、偽造や変造を防止するために行われます。
検認の手続をしなかった場合は、5万円以下の過料ですから、注意をして下さい。
封印してあれば、勝手に開封してはいけません。
知らずに開封してしまった場合もまた5万円以下の過料になります。
ですから、こっそり自筆証書遺言を作成される方は、発見者のためにこれが遺言書であることと、検認が必要な事が分かるようにしてあげて下さい。
申立てをすると、
家庭裁判所から相続人全員に「遺言書がありますので、○月△日 相続人全員立会いのもとで開封(確認)します。」
という通知があります。
ですが、その日に全員が立会いできなくても大丈夫。 後日、家庭裁判所から検認が無事完了した連絡があります。
検認の申立は、残念ながら行政書士業務ではないため、お手伝いすることは出来ませんが、手続は決して難しくありません。
ただし、過去に相談を受けた方でとても苦労された方がありました。
どの本にも書かれていませんが、この点は公正証書遺言と比べて遺された者に大きな負担を強いる弱点の一つだと思います。
実は、検認の申立てには
相続人全員の戸籍謄本と、遺言者の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(除籍謄本)が必要になります。
裁判所が相続人は誰なのかを確認するためです。
死亡が記載されている戸籍には、結婚して出て行った子ども達は入っていません。
ですから、子ども達が独立して出て行く前のものも取得します。
さらに、結婚前の戸籍も必要です。
前の配偶者との間に生まれた子どもがあれば、ここまで辿らなければ確認できないこともあるからです。
このようにして、過去へ過去へと遡っていきます。
ところが、この「生まれてから亡くなるまで」の戸籍取得が、人によってはかなり難儀することがあるのです。
というのは、結婚・離婚の回数が多かったり、単純な転籍(戸籍の所在地である本籍を移転すること)を繰り返している場合は、
・・・6通、7通、8通と取得していかねばなりません。
遠方の市町村だと郵送で請求しますから、1往復に1週間~10日間くらいはかかります。
なかには転籍が趣味(!?)のような方がいらして、なんと前述のご相談者は、愛知、岐阜、福岡、静岡・・・と請求しているうちに、
3ヶ月近くかかってしまった方もみえます。
もちろん、その間遺言書に何が書いてあるのか確認することは出来ません。
その点、公正証書遺言なら検認は不要ですので、このような苦労や手間はなくなります。
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