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成年後見制度と地域福祉権利擁護事業との関係

 

地域福祉権利擁護事業 とは

平成12年4月に「介護保険制度」、平成15年4月に障がい者の「支援費支給制度」、平成18年4月に「障害者自立支援法」が始まりました。

これにより福祉サービスの利用は、行政が決定する措置から「契約」へと移行しました。

 

福祉サービスを利用するためには、サービスを必要としている方ご自身が区役所などに申し込みをしたり、適切な福祉サービス利用の契約を結んだりしなければなりません。

しかし、判断能力が不十分な方は、このような手続や契約が一人では難しい場合があります。

このような方々を支援する仕組みとして、平成11年10月から「地域福祉権利擁護事業」が始まりました。

「地域福祉権利擁護事業」は、認知症や知的障がい・精神障がい等により、日常生活を営むのに支障がある方に対し、
福祉サービスの利用に関する相談・助言や、手続き・支払い等の援助を行うものです

サービスを利用するためには、社会福祉協議会との契約が必要です。

 
◆ 地域福祉権利擁護事業のメリット

ア.  相談・援助の窓口が地域密着型

地域福祉権利擁護事業は、全国的な組織を持つ都道府県社協を実施主体とし、その相談窓口は、全国全ての地域に組織にもつ市区町村社協です。
最も地域住民に身近な組織として、簡便に利用できる。


イ.  利用者の意思を尊重した利用者主体のシステム

初期相談から、契約締結審査会の審査に至るまで、本人の利用意志の確認が慎重に行われます。

また、実施段階にあっても、直接援助に当たる生活支援員が本人の見守りや、生活状況等の把握を行い、これを基に、専門員が再アセスメント(再評価・再査定)の機能を果たすことにより、本人の利用意志を継続的に確認します。

相談援助活動の中で、専門員や、生活支援員が、利用者の成年後見制度に対する理解を深める活動を行うことによって、成年後見制度の利用につながります。

また、利用時の申立人や、成年後見人等の候補者について、本人の意向を予め知ることも可能になってきます。

 

ウ.  成年後見制度の利用サポートが可能

初期の認知症状態により、判断能力がグレイゾーンにある人の中には、成年後見制度の利用を勧めても抵抗を示す人があります。その際は、この事業の利用から始め、その後に本人が納得したかたちで成年後見制度へ繋げることが出来ます。

  


◆ 地域福祉権利擁護事業の限界

ア.  利用者の判断能力に関する限界

地域福祉権利擁護事業を利用している間に利用者が判断能力を喪失した場合は、福祉サービス利用援助契約は終了することになります。

契約締結時に、利用者にこの仕組みを説明すると、先々のことに不安を抱かれ、ひいては、この事業に対する利用をためらうことにもなります。契約終了時の際には成年後見制度への移行や、利用者の生活に相応した他の援助の利用につなげることを十分に説明し、事前に利用者の理解を得る必要があります。

 

イ.  日常的な生活援助の範囲を超える事柄に対する限界

不動産の売却等の財産管理に関する法律行為や、身上監護についても施設入所の代理契約等は、この事業の範囲を超える時柄となります。

 

ウ. 取消権が無いことの限界 

悪徳商法などの財産侵害に対しては、成年後見制度の同意権・取消権に相当するものはありません。

生活支援員が定期的に日常的な金銭管理を行うことが予防的な効果をもつことはあり、また、預金通帳から多額の支出があることへの気付きから、消費者保護法による救済を求めることは出来ますが、それも自ずと限界があります。

こうした財産侵害を防ぐためには、成年後見制度へと移行することが必要となります。



★ 成年後見制度 
とは

認知症』、『知的障がい』、『精神障がいのある方など

自分で物事の判断を十分に出来ない方々の権利を、擁護・支援するための制度で、      

平成12年4月1日から現在の成年後見制度がスタートしました。

 

 

成年後見制度

地域福祉権利擁護事業

(福祉サービス利用援助事業)

● 対 象 者 の 状 況 等

所轄省

法務省

厚生労働省

法 律

民法(任意後見契約に関する法律)

社会福祉法

対象者

認知症高齢者

知的障がい者

精神障がい者  等

・判断能力が不十分な状態の方

認知症高齢者

知的障がい者

精神障がい者  等

(認知症の診断等が無くても可)

 

・在宅での日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を、本人のみでは適切に行うことが困難であると認められる方。

 

・この事業における契約の内容について、判断できる能力を持っていると認められる方。

対象者の

判断能力

精神上の障がいにより、判断能力が不十分な人(任意後見は能力のあるうちに契約)

精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある人

契約の

終了期

本人が病気から回復し、

判断能力を取り戻したり、亡くなるまで

判断能力の喪失により契約を終了

 

⇒判断能力を喪失した後は、成年後見制度への移行が必要。

● 援 助 内 容 等

援助方法

代理・同意(取消)

委任契約による助言・情報提供・代行・一部代理等

援助の範囲

類型(補助・保佐・後見)により異なる

福祉サービス利用、日常的金銭管理、書類預かり

本人への情報提供及び、助言等の支援

本人への情報提供及び、助言等の支援

治療・入院等に関する契約締結、

費用支払い

契約は本人

費用の支払いのみ

居住の住居確保に関する契約締結、

費用支払い

契約は本人

費用の支払いのみ

福祉施設・サービス利用に関する契約締結、費用の支払い、処遇の監視 ※1

利用者本人が行う福祉施設・サービス利用に関する契約締結の支援を行う ※2 代理は限定的

法律行為としての異議申し立て等

福祉サービスの利用における苦情申立て援助

日常的金銭管理 ※1

日常的金銭管理

財産管理権 あり

書類預かりサービスの範囲内で可能(保全・保管)

※     1 成年後見人等が自ら行わず、福祉サービス利用援助事業に委託する場合もある。

※     2 入所施設の入所契約および、公費負担のない民間サービスは除く

   (「地域福祉権利擁護事業の基盤整備にむけてⅡ」全社協より)

 

成年後見制度

地域福祉権利擁護事業

(福祉サービス利用援助事業)

● 援 助 者

名 称

成年後見人

保佐人

補助人

任意後見人

専門員

生活支援員

援助者の

供給組織・実施主体

弁護士会

司法書士会

社会福祉士会

NPO団体

親族・個人

行政 等

都道府県社会福祉協議会

区市町村社協

NPO等に委託

手続きの

開始

本人・配偶者・四親等内の親族

他類型の成年後見人及び、監督人等、

区市町村長

検察官

任意後見人等が家庭裁判所に申立て

本人、家族、関係機関等からの相談

成年後見人等

(介護支援センター等関係機関からの相談が最も多い)

能力判定

医師による鑑定

ただし、補助開始及び、任意後見監督人選任の審判は医師の診断書でも可能

・家庭裁判所

契約締結判定ガイドラインに基づく専門員による 判断

判断能力に疑義がある場合は、契約締結審査会による審査(都道府県社協に設置)

監督機関

(体制)

家庭裁判所

成年後見監督人等

任意後見監督人

専門員

運営適正化委員会(都道府県社協に設置)

費用負担

● 報酬

成年後見人等が家庭裁判所に申立て、家裁は本人の資力等総合的に判断し、報酬を決定

● 後見等事務処理費用

本人の財産から支弁

●支援計画作成まで:無料

●契約後の援助は利用者負担

 1時間 1000円~ 生保受給者は原則減免

 ※「成年後見制度及び、福祉サービス利用援助事業の利用の手引き(改訂版)より引用、一部改変

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