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相続悩みQ&A

相続財産、相続税についての悩み Q1~Q22

Q1

妻には相続上の「特権」があるのは本当?

 

夫が亡くなった際の「一次相続」では、殆どの場合妻は相続税を払わずに済みます。

これは、「配偶者の税額軽減の特例」があるためで、配偶者の法定相続分、もしくは一億6千万円のいづれか多い額までは相続税の納付は不要になる。

夫の財産を妻と子供2人で分けると、妻の法定相続分は1/2。1/2の範囲ならたとえ100億円を受取っても相続税は払わなくてもよくなります。

また、結婚20年以上の夫婦の場合、配偶者に自宅を贈与する際に2,000万円までが非課税となる制度もあります。

Q2

夫の財産がどれだけあるかわかりません。

 

家庭の財産は大きく分けて『現金・預貯金』、『不動産』、『生命保険』、『株・投資信託』の4つになります。

預貯金は通帳で、生命保険は保険証券で、株や投資信託は証券会社に聞けば時価がわかります。

不動産について、相続税を求める際の遺産総額は、「相続税評価額」の合計となります。不動産評価額は自宅に毎年送られてくる固定資産税の「納税通知書」でおおよそがわかります。通知書には建物と土地の評価額が記載されていて、建物についてはそのまま、土地は0.7で割りそれに0.8を掛けた金額が目安となります。 これらの遺産総額を算出してみて基礎控除額を上回っていたら相続税がかかります。

Q3

夫が亡くなった後でも出来る節税策は?

 

相続開始後に節税をするには、納税額を減らす、もしくは残された財産の評価を減らすという方法があります。納税額は「配偶者の税額軽減の特例」などによって下げられます。

そして評価額を減らすには減らしやすいのは不動産。よく使われるのが最大80%の評価減となる「小規模宅地等の特例」です。一つの土地を分筆して評価を減らす方法や、いびつな不整形地や傾斜地、区画整理中の土地などは評価減の要素となります・

Q4

夫の給与からコツコツ貯めた妻名義の預金が300万円。これは妻のもの?

 

民法の762条には、夫婦は「別財産制」がある旨が書かれています。つまり、夫が稼いだお金は夫のものとなります。その前提で、離婚や相続の際には夫の財産の半分程度を妻が受け取れることになっています。なので、預金口座が妻名義でもその原資が夫の給与である以上申告の必要があります。

もしも、夫の給与を「妻のもの」にするなら、年間110万円までは非課税になる「暦年贈与」などを活用。

その際は、贈与契約書を交わし、口座振替で記録を残すなど贈与の証拠を残しておくといいでしょう。

Q5

相続税の申告で夫のタンス預金500万円を妻が税理士に伝えなかったら?

 

税理士が尋ねたにもかかわらず妻が隠したなら、税務調査で「仮装・隠ぺい」と判断され、通常の申告漏れよりも厳しい重加算税を課せられる可能が高いです。

そして、「仮装・隠ぺい」があった場合には、隠していた財産に対して「配偶者の税額軽減の特例」を受けられなくなります。

Q6

母の宝石や、ブランド物は相続財産になる?

 

遺産総額を計算する上では、宝石やブランド物は時価換算となります。

宝飾品など一般的な人が買うようなものなら一点一点細かく申告しなくても問題はないでしょう。

しかし、高価なワインが壁一面のワインセラーに並んでいる・・とかは別かもしれません。

相続の際には、身内で分けてしまっても問題はなさそうです。

Q7

相続税の申告後に全く知らない夫の海外の口座がみつかりました。

 

妻の知らないところで夫が資産運用をしているのはよくある話です。

国税庁の統計では2012年6月までの1年間で海外資産の相続税の申告漏れは111件で増額72億円。

税務調査で見つかれば財産隠しとみなされて35%の重加算税を課せられることもあります。

海外資産に気付いたなら。正直に申出をしましょう。

自発的に修正申告する分には本来支払うべき相続税と利息にあたる延滞税だけで済み、過少申告加算税や、重加算税を支払うことにはなりません。

Q8

母が老人ホームに入所したため、実家が空き家になってしまいました。

 

自宅に一人で住んでいた母が亡くなり、別居で持ち家のない娘が自宅を相続する場合、「小規模宅地等の特例」によって一定の広さまで土地評価額が減額されます。

この特例は現行では特例は認められないが、2014年1月からの改正により、「介護の必要があって入所」「自宅を誰かに貸したり、住ませたりしていない」という二点を満たせば、被相続人である親が、老人ホームに入所していても特例が受けられるようになります。

Q9

相続人である弟が「相続税を払えない」と言い張っています。

 

母の相続で、相続人は長女とその弟の2人。長女は弟のことだから関係ないということはありません。

弟が納税を拒むと、税務署が催促や、差し押さえにやってきます。ただ、弟が母の相続財産を借金返済などで使ってしまい、本当に納税資金がない場合は、もう一人の相続人である長女が「連帯納付義務」を負うことになります。理不尽と思えますが、長女は相続した額を上限に弟の分まで納税しなければなりません。

Q10

同居する母の通帳から生活費として引き出した額が計1,000万円に。正直に知らせるべき?

 

相続時にもめやすい典型的な例です。

父はすでに死去。その後に母の相続が発生した時に長男が母の通帳を見たら、母が父から継いだはずの財産がほとんどない。調べると、同居の長女が「使い込み」をしていたとわかった。長女からしてみれば「母の面倒を見ていたから財産をもらってもいい」という言い分なのですが。それならば、母に遺言を残してもらうか、生前贈与をしてもらうべきです。長女がすでにまとまったお金を使用しているなら、贈与税が発生します。納税が嫌なら、貸付金の契約書を作り、返済をしてくしかありません。

Q11

親と同居する長兄が妹に親の財産を教えてくれません。

 

親の財産を長男が独り占め。こんな事例はいまだに多いようです。

たとえ長男が教えてくれなくても、相続発生後に相続人として親の口座のある銀行に行けば、預金残高を確認することは可能です。

最悪の場合、兄弟の溝が深まることを覚悟して調停に持ち込む手段もあります。

説得の余地があるなら、相続税対策を話題にするなどして、長男に情報開示を促すのが良いかもしれません。

Q12

夫の「連帯保証」まで相続に。

 

「連帯保証」も相続されます。

たとえば、父が長男の家の住宅ローンの連帯保証人となり、父が亡くなった時に連帯保証が母や、長女らに相続されます。長男の返済が滞ったら母や、長女にも支払義務が生じます。

連帯保証も相続放棄できますが、その場合は自宅を含め、他の財産も放棄することになります。

連帯保証人になるときは相続する家族のことも考えておく必要があります。

Q13

母と娘がマンションで二人暮らしマンション購入費用は半分ずつ負担し、名義も半分。相続は面倒になる?

 

娘に兄弟がいて母の財産がこのマンションしかない場合、相続時にもめるかもしれません。

娘がマンションを引き取るなら、その代わりに兄弟に代償金を支払うなどの対応が必要になります。

ベストなのは、購入時に手を打つ方がよいかもしれません。「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」を利用して、母が娘にお金を贈与しマンションの名義を娘さんだけにしておく。この制度では、両親や、祖父母から住宅資金を援助してもらう際、一般住宅では700万円(13年)までが非課税となります。

マンション名義が娘の名義なら相続財産としてもめる心配はなくなると思われます。

Q14

夫の死後発覚した借金は相続しなくちゃダメなのか?

 

相続開始から3か月以内に家裁に「相続放棄」の申立てをすれば、借金は相続しなくても済みます。しかし、相続放棄をすると、自宅や株などのプラスの財産も同時に放棄することになります。仮に妻と子が相続を放棄すると、夫の親に相続権が移ります。夫の親が放棄するにはそこから3か月以内に相続放棄を申し立てる必要があります。

Q15

生命保険金や死亡退職金は相続財産?

 

どちらも遺産分割の対象にはならず、まとまったお金が受取人のもとに入ることになります。ただし、相続税法は相続税の課税対象になります。生命保険金は「500万円×法定相続人の数」までの額が非課税になります。

Q16

葬儀費用は相続財産から引かれますか?

 

葬儀にかかった費用は被相続人の債務として相続財産から差し引くことが出来るので、結果的に節税になります。葬儀費用よりも香典が多ければプラス分は誰かの懐に入ることになる。香典は非課税です。

Q17

夫が亡くなったら夫の預金はどうなる?

 

口座名義人が亡くなったことを金融機関が把握すると、口座は相続手続きが終わるまで凍結される。凍結される前に親族が勝手に口座から預金を引き出してしまうケースもあり、相続でもめる原因となります。

Q18

相続税が変わるの?

 

2015年1月から、最高税率が50%から55%にアップします。

ただし、該当するのは各相続人の課税対象財産が6億円を超える層で、大半の人には影響はないと思われます。多くの人に影響するのは「基礎控除」の4割減です。

Q19

「基礎控除」が減るとはどういうこと?

 

基礎控除とは、課税対象の遺産額を少なくできる枠のことです。

現行の「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と4割減になります。相続人3人で4,800万円を超える遺産があれば計算上は相続税が課せられます。

Q20

相続税を払う人はどのくらい増える?

 

現行制度で課税対象となるのは亡くなった人の約4%。これが基礎控除の縮小によって7%前後になると言われています。不動産評価額が高く、富裕層が多い東京では10%が対象となるという見方もあるようです。

Q21

期限までに相続税が払えなかったらどうなる?

 

申告の必要があるのに、相続発生から10カ月以内に納付しなかった場合、本来支払うべき相続税に加えて「無申告課税」と、利息にあたる「延滞税」が課せられることになります。原則、相続税は一括で支払うことになっています

Q22

相続税の額を減らすポイントは?

 

大きく分けて、財産そのものを減らす方法と、財産の評価を下げる方法がある。前者では年間110万円の非課税枠がある暦年贈与や、孫への教育資金の一括贈与などが節税策として使えます。後者では、現金を不動産に代える方法などが考えられます。

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遺産分割に関する悩み  Q23~Q40

Q23

夫はバツイチで先妻との間に子供が1人います。相続はどうなりますか?

 

先妻に相続権はないですが、先妻の子には後妻の子と同等の相続権があります。

お互い顔も知らない同志というケースが多いため、相続人全員が揃って遺産分割協議をすることは難しいと考えられます。

もし、相手が家が欲しいなど無理難題を言ってきたらもめるのは目に見えます。

夫が離婚経験者であれば生まれてから今に至るまでの戸籍をすべて確認しておくといいです。

隠し子や、養子がいたなら夫に遺言書を書いてもらうほうが良いでしょう。

Q24

夫とは再婚。夫の遺産を私の連れ子に相続させられますか?

 

この場合、再婚した妻は配偶者として相続人になります。しかし連れ子はそのままだと相続人になりませんが、連れ子に夫の遺産を分ける方法はあります。

1つは夫が生きているうちに養子縁組をする方法。1つは遺言によって遺贈を行わせる方法です。

Q25

夫とは「事実婚」妻の私は夫の遺産を相続できますか?

 

婚姻届を出さない「事実婚」もいまでは珍しくありませんが、相続では法律上の不利益が生まれてしまいます。いわゆる、内縁の配偶者には相続権が一切ありません。ほかに相続人がおらず、家裁に申し立て「特別縁故者」とみなされれば遺産を受取れる可能性もあります。

ですが、財産を受取りたいのなら夫から生前贈与や遺贈をしてもらうのが確実です。

ちなみに、事実婚夫妻の子は認知をしても「非摘出子」とみなされ法定相続分は摘出子の1/2。

現在これついては、憲法違反かどうかをめぐり最高栽で審理が進められている。

Q26

義父を長年介護してきました。義父の遺産を受取ることは出来ますか?

 

義父が亡くなっても、息子の妻は法定相続人ではないので遺産は受取れません。

義父の財産の維持や増加に特別の寄与をしたと家裁に認められ、夫が受け取る遺産に「寄与分」が加わることもありますが、煩雑な準備や労力が必要となります。

または、義父と養子縁組する、遺言で遺贈を受けるといったやり方で息子の妻が義父の財産を直接受けることも可能です。

Q27

次男だけには私の財産を与えたくありません。

 

夫の葬儀にも顔を見せなかった親不孝の次男。しかし、彼にも法定相続分はあります。どうしても財産を分けたくないという強固な思いがあるのなら、先ずは遺言は欠かせません。

遺言によって次男の相続をゼロにします。しかし、次男には遺留分があります。その遺留分も少なくしたいというのであれば生前に生命保険に入って別の子に保険金を受け取らせたり、別の子の配偶者を養子にして相続人を増やしたりする方法もあります。そうすれば、結果的に次男の取り分が減る形になります。

相続権を喪失させる「廃除」の意思を遺言に書くこともできるが、これは、長期間の虐待があったなどよほどの理由がないと裁判所に認められないのが現状です。

Q28

次女にお礼をしたいけど、残す財産はありません。

 

夫は健在、病気がちの自分を次女は同居し、かいがいしくお世話をしてくれる、そんな次女に何かを残したい。しかし、自分が専業主婦だったので自分名義のまとまった財産がない。なにか妙案は?

一つの案として、夫が妻に自宅を贈与し、妻が遺言で自宅を次女に相続させる方法。

結婚20年以上で、居住用の不動産を配偶者に贈与する場合は、2,000万円まで非課税となります。暦年贈与の基礎控除と組み合わせれば、2,110万円まで非課税になります。

Q29

妹は親に結婚費用を出してもらった。独身の姉はその分親の遺産を多くもらえる?

 

未婚か既婚かに限らず、兄弟の立場や、環境によって親からの「資金援助」には差が生まれるものです。

この援助は相続財産の先取りである「特別受益」の可能性があります。

特別受益は遺産分割の対象となるので、特別受益を受けた人は相続の取り分が少なくなります。

ただ、結婚資金は額によって、特別受益に含まれる場合とそうでない場合があります。また、学費などは親の扶養の範囲として特別受益とみなされないことが多い。

Q30

母には子供が4人、孫が10人、ひ孫が6人。遺産分割が思いやられます。

 

相続人が多い場合は、遺産分割協議を全員そろってすることが難しいので、手続きが長引く可能性があります。手続き最中に相続人が亡くなってしまい更に煩雑になることさえも。

解決策としては、あらかじめ遺言で遺産分割方法を決めておくこと、更に遺言執行者も決めておくとスムーズに遺産分割ができます。

Q31

2人姉妹で仲良し。親の相続も問題ないので対策なんて・・・

 

相続人が娘2人のパターンというのは相続でもめることが多いようです。

特にトラブルになりやすいのは、娘2人の年齢が離れていて疎遠な場合。そして2人の生活水準に差がある場合だそうです。

親が80代、長女と次女が50代とすると、長女と次女の残りの人生は相続でもらう財産の額に左右されるといっても言い過ぎではない。親の財産が多い場合はとくにそうなる可能性が。そして、生活水準の低い方は「絶対向こうより多くもらう」と言い出す。子供の争いを泥沼化させないためにも親の生前の準備がなによりも重要となります。

Q32

義母より夫が先に他界。「次の相続」が心配です。

 

妻であるAさんと亡くなった夫の間には一人息子がいる。夫の父はすでに死去、また夫は長男で弟が一人いる。ここで義母が亡くなった場合どうなるのか。

相続人はAさんの一人息子と義理弟という組み合わせになります。年齢も離れていると思われるため話し合いも難しい可能性があります。長生きする親が増え、子供が親より先に亡くなる「逆縁」は珍しくありません。

Aさん親子と義母が義母名義の家に同居していたら、より厄介になる可能性も・・・

義母が亡くなったとたん義理弟が「うちの家族の土地を渡せ」などと言いかねません。最終的にどう分けるにしても、義母には遺言を残してもらうことがトラブル回避の一番の近道となるでしょう。

Q33

相続を受けられるのは誰?

 

夫が亡くなった場合、配偶者である妻は常に相続人になります。

子ども(亡くなっていれば孫)がいれば、第一順位の相続人で、第二順位が夫の父母(亡くなっていれば祖父母)第三位順位が夫の兄弟姉妹(亡くなっていれば姪甥)。

Q34

赤ちゃんも相続人になりますか?

 

赤ちゃんでももちろん、胎児についても民法で「相続については既に生まれたものとみなす」とされます。

遺産分割協議をする際には、家裁で赤ちゃん(胎児は生れてから)の「特別代理人」を選任することになります。

Q35

相続財産の分け方にルールはあるの?

 

相続人の話し合いや遺言で分け方を決めるのが原則。もめた時などのために「法定相続分」があります。

法定相続分は相続人の組み合わせによって割合が変わります。

・相続人が妻のみ 、全部が法定相続分になります

・相続人が妻、子供の場合、1/2ずつ

・妻と夫の親の場合、妻2/3・夫の親1/3

・妻と夫の兄弟の場合、妻3/4・夫の兄弟1/4

Q36

「遺留分とは?」

 

相続人が最低限得られる遺産のことを指します。

遺言によって遺産を受取れなかった相続人は「遺留分減殺請求」で権利を主張することが出来ます。

Q37

遺産を家族以外の第三者にあげることは可能?

 

遺言に記せば、家族以外の人や、法人にも遺産を残せます。

遺言によって財産を贈与することを「遺贈」と言います。

Q38

ペットに相続はできますか?

 

ペットは法律上、物として扱われるので相続人となることは出来ません。

たとえば、遺言によって特定の人に「ペットの世話をしてもらう代わりに財産を贈る」といった「負担付遺贈」をすることは出来ます。

Q39

遺産分割はどのように進めたらよい?

 

遺言がない場合は、相続財産の評価をしたうえで、相続人全員の合意のもとで遺産分割協議書を作ることになります。協議書は口座凍結を解除したり、財産の名義変更をしたりする際に利用します。協議がもめそうなときは第三者の「議長」を立てるのも選択肢です。

Q40

遺産分割でもめたらどうなりますか?

 

遺産分割がまとまらない「未分割」のままだと、各相続人の取り分が不明なので「配偶者の税額軽減の特例」や、「小規模宅地等の特例」が使えず、ひとまず割高な相続税を支払うことになりかねません。被相続人の口座凍結解除も難しくなります。

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遺言関係についての悩み Q41~Q44

Q41

夫に遺言を書いてもらういい方法は?

 

遺言は相続を円満に進める切り札ともいえます。しかしまだ元気な夫に「書いて」とは言いにくいと思います。遺言書を書いてもらう前に、家族で話し合うのがいいかもしれません。情報を共有したうえで、家族が「お父さんの意思を生かそう」「家族でもめたくない」と促せば前向きに取り組んでもらえるのではないでしょうか。ちなみに夫婦仲が良いからと言って遺言を一緒に書くのはいけません。「共同遺言」は民法では無効とされてしまいます。

Q42

遺言やエンディングノートを書く際の大切な心構えは?

 

遺言や、エンディングノートを書く上で見落としがちなのは、「生前の自分の取り分」です。それを踏まえずに子供への遺産分割を考えるのは本末転倒です。住み替えや、老人ホームへの入居を検討しているなら、多額の準備資金が必要。ご自身が今後10年20年どう過ごしたいのかを考えて書く必要があります。

財産リストを作り、誰に何を分け与えるのかを考えるのはその後です。遺言やエンディングノートはこの先より良く生きていくために書くものです。

Q43

「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の違いは?

 

遺言者自らが書く「自筆証書遺言」は費用がかからず気軽に書ける反面、偽造や紛失、あるいは形式を誤って無効になる恐れがあります。

公証役場で公証人に作ってもらう「公正証書遺言」は手間と費用がかかりますが、偽造などの心配はありません。

Q44

一度書いた遺言は訂正できますか?

 

訂正はいつでも何回でもできます。ただし、訂正印の押し方のルールがあるので注意が必要です。

遺言書が複数あると混乱をきたすので、新たに書き直す場合は古い遺言書を確実に処分した方が無難です。

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その他 Q45~Q50

Q45

夫と一緒に孫に教育資金を贈りたいと思っています。

 

2013年4月から孫一人につき1,500万円まで非課税で教育資金を一括贈与出来る制度が始まりました。

実際には信託銀行の「教育資金贈与信託」などを通じて利用することになります。

この対象となるのは直系尊属の人からの贈与だけになり、祖父母に限らず父母から贈与されても非課税ですが、配偶者の父母からの贈与は非課税にはなりません。

また、1,500万円のうち塾や習い事に使えるのは500万円まで。

楽器店でピアノを買うのは対象外ですが、孫が通うピアノ教室を通じてピアノを買えば対象となります。

祖父母の財産を減らす意味で相続税対策ともいえますが、孫が30歳になったとき残額があると贈与税が課せられます。

Q46

夫が認知症になったら相続はどうなりますか?

 

認知症などが原因で会話が出来なくなったり、判断能力が低下したりすると、土地の売却、賃貸事業における借入、遺言の作成などが困難になります。そうなった場合、家裁が選任した後見人が代理で法律行為をすることになりますが、財産の保全が目的となり、夫名義の財産の節税対策などが出来るかというと、相当な理由がない限り厳しいです。元気なうちに準備を進めましょう。

Q47

信頼できる相続の専門家はどのように探せばいい?

 

まずは、相談する「目的」をはっきりさせます。

財産評価や相続税の申告なら税理士、登記関係なら司法書士、もめごとがあるなら弁護士に。

他には遺言書の作成などには、行政書士や、遺言信託などをあつかう信託銀行や、サポート会社もあります。

次に「相続に強いか」そして、「人」、相続は家族間のドロドロした話にかかわるため、専門家の人柄や、  相性も重要です。何人かに会ってみて一番合う人に頼むのがいいでしょう。

Q48

熟年離婚でシングルに「終活」で自分の墓を買おうと思います。

 

墓地や墓石、仏壇や位牌などの「祭祀財産」は相続税の対象外です。生前に購入しておくと相続財産が減るので節税になります。

ただし、相続が開始する死亡日までに支払いが済んでいない場合は、課税の対象となります。

Q49

都会住まいなので田舎の土地を相続しても困る。

 

親が所有していた土地が更地のまま活用していないなら、売却し、そのお金で都会のワンルームマンションを購入したりし、賃貸収入も入り、娘さんも相続手続きがしやすくなります。また、実家を相続しても住まないという場合は、売却してしまうことも選択肢。売却できない場合は、地元にいる親族に贈与する方法もあります。

Q50

相続はいつまでに終わらせないといけないのか?

 

相続自体いつまでという期限はありません。ただし、相続放棄をするには死亡日から3か月以内に家庭裁判所に申立てなくてはいけません。相続税がかかる場合は10ヶ月以内に税務署に申告・納付するなどの 期限は設けられています。

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