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空き家問題とは?増加の原因と対策・解決策について⑥


NEW空き家問題とは? 増加の原因と対策・解決策について⑥

空き家問題に特化した法律
『空き家対策特別措置法』が平成27年2月に施行されました。
一部条文の施行が留保されていましたが、同年5月26日から完全施行されました。

今回は、空き家の活用方法について

空き家の活用方法

空き家を維持する為には、誰かに住んでもらうのが一番です。
果たして、
借りたい人は居るのか?
ボロボロの状態の住宅でも大丈夫なのか?

不安がたくさんあると思いますが、ボロボロの家でも、借りたい人はいます。
必ずしも家がきれいでないと借り手がつかないなんてことはありません。
例えば
 ・ボロボロでも家賃が安い方がいいという方。     
 ・住まいをカスタマイズしたいという方      
 ・手つかずの空間の方が好きな方 など

そのままの状態で貸し出すことも可能です。


また、借り手にどんな使い方をされるか不安があり、貸すのが心配という不安のある場合

借り手に勝手に改造されたり、建物を汚されたりすると困りますので、心配ならば賃貸借契約の 際にどこまで改造をしてもいいのか?
元の状態に戻すべき範囲を約束しておけば大丈夫です。
また、借り手が畳や、建具、便座など付け加えた場合、借り手は貸主に買取請求権利『造作買取請求権』がありますが、これは特約で解除ができます。
行使させたくない場合はあらかじめその旨を契約書にかいておけばいいのです。

ボロボロの状態の建物をきれいにしたいと思っても。。。
再建築が認められない場合があります。

主に、路地裏の家は、多くの場合立替えが出来ません。
幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していない土地には原則として建物の新築や再築は出来ないと決められています。これが、再建築不可物件です。

では、この場合どうしたらいいのでしょうか?
再建築不可の土地や建物は、他の物件に比べると資産価値が下がってしまいます。
ですので、解体せずに、改修し賃家などにして活用する分にはあまり不利はありません。
最近では、空き家問題を解決し、防災を促進するため、条件付きで認められる制度も生まれています。


耐震改修についてはどうしたらいいのでしょうか?
古い建物(昭和56年以前に建てられた建物)は、耐震性が低い可能性が高いです。
古い住宅の密集地や路地の連なる住宅地では、耐震改修をせずに放っておくのは危険です。
まずは耐震診断を受け、耐震改修の必要な倒壊可能性のある建物は改修しましょう。
行政機関多くでは、耐震診断や、耐震改修の費用の一部を補助する制度がありますので活用しましょう。


耐震改修の最も手っ取り早い主な工事としては、屋根の葺き替えです。
屋根を軽くするだけで耐震性能があがり、同時に雨漏り対策も出来ます。

初期投資を少なく済まし、賃家にするためには、
家を借主の資金で改修してもらう契約とし、全く手をかけない状態で格安で家を貸しだします。その借主の退去後は、改修がなされ設備の揃った住宅として家賃設定を上げて、再度貸し出すことが出来ます。


また、
その他の活用事例として

実例① 傷んだ空き家を、借り手主導で改修
実例② 祖父から継いだ空き家を、住人自ら工事(改修費用約300万円)
実例③ 最小限の準備で、空き家を居住用の賃貸物件に(貸主・設備点検)
実例④ 購入した空き家を大工棟梁に頼んで本格改修(改修費約50万円/坪)
実例⑤ 空き家歴15年、実働3時間の片付けで活用へ(市の補助90万円、家賃前払いの借主負担55万円)
実例⑥ 路地裏の空き家を、店舗兼住宅として再生(改修費約1000万円:所有者が負担)

※ 賃貸や売却も視野に入れて総合的な判断を
まだ使える家が残っているなら、賃貸することで借主が管理してくれますし、価格が下がる前に売却してしまうのも手です。
管理代行サービスは、一時的な引き延ばしにしかならないので、将来も見据えて空き家をどうするか考えるのは、所有者に突き付けられた課題です。
田舎では売主がなかなか見つからない点から、利益を出すつもりで売却を考えないこと、賃貸でも維持費をカバーできる程度の家賃で十分でしょう。

いずれにしても、現状を放置して事態が改善することだけはありません。
家には思い出が残っているので、なかなか思い切れませんが、残しておいても税負担が増える上に、強制対処となっては結局自己負担です。 早く手放すことで、周辺の同じような空き家との競合を避けられるメリットもあります。 また、解体して更地にしてしまえば空き家ではないのですから、所有者の管理責任は段違いに軽減され、同時に行政指導の対象から外れます。 特定空き家に該当すると思われる場合は、面倒なことになる前に、とりあえず補助を受けて解体しておくのも有効です。

■ 自治体の条例や解体費用の補助
空き家対策の実施主体である自治体は、空き家対策特別措置法の施行以前から、条例を定めて空き家対策を推進してきました。 あまり知られていないですが、従来からある住環境の整備事業としての空き家対策には、自治体から所有者への補助がありますし、国から自治体への補助もあります。 空き家である空き家ではないに関係なく、 損傷・老朽化が激しい住宅については、除却(解体)の費用を補助し、もし住居に困る住民が存在すれば、自治体が住宅を用意してまで転居させる整備が行われるほど、実は力の入っている事業です。 ところが、いくら老朽化しているとはいえ、個人の財産に対する公権力の介入は財産権の侵害にもあたりますから、早くから人口減少と空き家問題に気付いていた自治体でも、住環境の整備には大きな壁が立ちはだかっていました。 空き家対策特別措置法の施行は、空き家対策に法律上の枠組みを用意し、自治体の空き家対策にとって後ろ盾となっています。


■ 空き家バンクや自治体独自の取り組み
空き家の所有者にとって頭が痛いのは、空き家を活用したくても相手が見つからず、結果的には放置になってさらに傷んでくる現実です。 自治体にとっては、単に費用補助するだけでは目ざましい効果は得られず、一歩踏み込んだ施策によって空き家対策を進めていく必要性がありました。
そこで登場してきたのが、空き家バンクと呼ばれる地域の空き家へのマッチングサービスで、多くの自治体によって(もしくは自治体が委託して)運営されています。 空き家バンクの存在は、空き家を探している側にもメリットが大きいでしょう。 また、移住を考えている人に向けた空き家の開放、公共施設としての活用、福祉用途、観光分野など、その地域に必要な空き家の活用方法を考えた、自治体独自の取り組みも行われてきています。


■ 空き家管理サービスの増加
空き家の所有者にとって使っていない期間の管理は、空き家が遠隔地になるほど深刻で、かんたんな管理でも行くのが面倒というケースは相当数考えられます。 そこに目を付けた民間業者が、定期的な空き家管理サービスを提供するようになり、その数は増え続けています。 需要がなければ当然こうしたサービスが増えるはずもなく、空き家対策特別措置法の施行や、メディアが空き家問題を取り上げるようになったことで、空き家管理が重要であると認知され始めた影響なのでしょう。 費用は月1回の巡回で10,000円程度が多く、この金額を高いとみるか安いとみるかは、空き家の所有者によって異なります。 費用を惜しんで空き家管理を怠ると、やがては行政指導を受ける時代ですから、人によっては費用対効果が高いのかもしれません。


■ 民間団体などの取り組み
自治体だけではなく、財団法人、公益法人、NPO法人など、民間団体による空き家対策への取り組みや空き家バンクの運営もされています。 全国に多くの団体が存在するため、ここで紹介できるのはほんの一例に過ぎませんが、基本的に活動範囲が地域に絞られることから、小規模な団体も数多くあります。



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2017-12-28 13:05:12

空き家問題とは?増加の原因と対策・解決策について⑤


空き家問題とは? 増加の原因と対策・解決策について⑤

空き家問題に特化した法律
『空き家対策特別措置法』が平成27年2月に施行されました。
一部条文の施行が留保されていましたが、同年5月26日から完全施行されました。

今回は、空き家問題の解決策について


空き家問題の解決に向けた対策

空き家問題に特化した法律空き家対策特別措置法』が平成27年2月に施行されました。
一部条文の施行が留保されていましたが、同年5月26日から完全施行されました。
 
では、この 空き家対策特別措置法 とは?

空き家全体の中で、特に危険度が高い空き家を「特定空家等」と定義し、行政の介入による対策に法的根拠を持たせています。
空き家が特定空家等に指定されてしまうと、
所有者は自己負担で早急に改善しなければ、行政からの強制対処(除却等)を求められることになり、土地の固定資産税に対する特例措置も外されて税負担が増す(最大4.2倍)ことになります。
 
空き家対策特別措置法の趣旨は、あくまでも自発的な空き家対策を促し、所有者に解決させようとするものですが、対策を講じない所有者を想定した規定もされています。
 
空き家対策特別措置法では、具体的に市町村が行う施策までは定めておらず、基本方針を示したに過ぎませんが、法律の制定で対策しやすくなったのは確かだと思われます。
また、空き家の放置を抑制する効果(後述する税制上の措置)が見込まれています。
 
条文で明記された空き家対策特別措置法の目的は次の通りです。
 
• 地域住民の生命、身体又は財産を保護する
•(地域住民の)生活環境の保全を図る
• 空家等の活用を促進する
• 空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進する
• 公共の福祉の増進と地域の振興に寄与する
 
これらの目的を達成するため、国が基本方針を策定し、市町村が空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めるとされました。
では、市町村は空き家対策として一体何を始めるのでしょうか?

■ 空き家の調査と現況の把握
市町村が何をするにしても、まずは行政区域における空き家の現況を確認しなければ、対策や措置を講じることもできないのは言うまでもありません。(逆に言えば把握しきれていないということです。) そのため、市町村が最初に行うのは空き家の所在と所有者の把握で、そのために必要な調査や情報の提供を求めることができると規定されています。 その上で、市町村は対策が必要な空き家を選別することになり、所有者に対して適切な管理を促進するため、情報の提供や助言その他必要な援助 を行います。 そして、特に対策が必要な「特定空家等」にみなされると措置が講じられます。
  ※ 措置の対象になる「特定空家等」とは?  

空き家対策特別措置法には、 「空家等」の定義 を「居住その他の使用がなされていないことが状態である建築物とその敷地」 としています。しかし、この表現は基準になっていないことから、概ね年間を通じて使用されていないことが、指針として打ち出されました。また、特別措置法はすべての空き家を措置の対象にしておらず、

次のように周辺への影響が大きい空き家を「特定空家等」と定義しています。 

·  そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
·  そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
·  適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
·  その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態  


措置1 解体の通告や強制対処が可能に

空き家対策特別措置法では、著しく保安上の危険となるおそれがある空き家、著しく衛生上有害となるおそれがある空き家について、強制的に対処できる規定が設けられました。 強制対処はいきなり行われるのではなく、段階的な手順を踏みます。
 

1. 改善への助言と指導
最初に行われるのは、除却(解体)、修繕、立木竹の伐採等の助言又は指導です。 助言や指導を受けても改善しなければ、猶予期限を付けて改善するように勧告します。


2. 改善がなければ勧告
助言や指導、勧告ならば、まだ何もしなくて大丈夫だと思うでしょうか?ところが、勧告の対象になると、後述する固定資産税の特例対象から除外されます。 つまり、助言や指導の時点でイエローカードが出されていると思わなくてはなりません。  


3. 勧告でも改善されなければ命令
勧告にも従わないと徐々に重くなり、猶予期限を付けて改善命令が出されます。 このとき、対象者には意見を述べる機会(意見書や意見聴取)が与えられるので、どうしても改善できない理由があるなら、この機会を利用して陳述できます。


4. 命令の次は強制対処
命令の猶予期限を過ぎても改善を完了できないと、いよいよ強制対処の対象になります。 もし、命令に従わない場合には過料(50万円以下)を科され、さらに行政が代わりに措置を行うことが出来ます。 ここで気を付けなくてはならないのは、命令を受けて改善に着手すれば良いのではなく、 猶予期限までに改善を“完了”しなくてはならない点です。  

改善命令を無視した場合、改善に着手しても不十分な場合、改善が猶予期限までに完了の見込みがない場合のいずれでも、市町村は強制対処が可能です。つまり、「改善しているフリ」は許されない厳しい規定になっています。 ちなみに、強制対処の内容は必要な改善なので、倒壊の危険がない空き家まで強制撤去するようなことはないですが、改善の費用は所有者負担です。所有者が負担できなくても、市町村が負担してその費用を所有者に請求します。  
ただ、所有者が分からなくなる経緯は、相続時に登記変更の手続きが行われていないことも関係しています。相続の手続きを行わなくても、自動的に法廷相続人が次の所有者になるため、戸籍からそれを特定することはできますが、支払いに応じなかった場合はどうするのか?という問題は残ります。    

措置2  固定資産税の特例対象からの除外
特定空家等に対する市町村の改善勧告があると、土地に対する固定資産税の特例(優遇措置)から除外され、土地の固定資産税が最大で4.2倍にも増額されます。  

・住宅用地における固定資産税の特例
住宅の敷地 固定資産税 都市計画税
200㎡までの部分 1/6に軽減 1/3に軽減
200㎡を超える部分 1/3に軽減 2/3に軽減

※200㎡を超える部分は床面積の10倍が上限

ただし、土地の固定資産税が上がっても、家の固定資産税が相当に高ければ、使わない空き家を解体した方が、トータルの固定資産税が安くなる場合もあります。


次回は、【空き家の活用方法】をあげていきたいと思います。

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2017-12-21 13:05:12

空き家問題とは?増加の原因と対策・解決策について④


空き家問題とは? 増加の原因と対策・解決策について④

空き家問題に特化した法律
『空き家対策特別措置法』が平成27年2月に施行されました。
一部条文の施行が留保されていましたが、同年5月26日から完全施行されました。
空き家の問題が大きくなってきております。空き家問題について掲載してきたいと思ます。、

今回は、 空き家問題の原因について


空き家の所有者に事情をヒアリングすると、原因として
 
・所有権や相続問題でこじれている
・片付けをする暇がない
・知らない人に家を貸すのが不安
 
といった問題点を抱えているようです。
 
そういった問題を抱える中、空き家の増加の原因としては、
 
① 世帯数の増加以上に住宅は増えている
② 中古住宅の人気がない
③ 空き家予備軍の増加
④ 高齢者世帯はまだまだ増える傾向
⑤ Uターン率が低いと実家の空き家が増える
 
以上の原因と共に所有者側の事情等により空き家は増加しています。
では、詳しく見ていきます。
 
① 世帯数の増加以上に住宅は増えている
単純に考えて、住宅が増えなくても、世帯数が減ると空き家は増えていきますが、核家族化や単身世帯の増加から、世帯数は増加傾向です(世帯人員は減っています)。
ということは、世帯が増える以上に住宅が増えると、空き家も増えることになります。
平成25年の総世帯数は約5,245万世帯で、1世帯あたりの戸数は1.16でした。
この数字は年々増加しており、空き家が増えて続けていることに一致します。
 
  平成10年 平成15年 平成20年 平成25年
総世帯数(単位:千) 44,360 47,255 49,973 52,453
住宅総数(単位:千) 50,246 53,891 57,586 60,629
戸数/世帯 1.13 1.14 1.15 1.16

(データ:国土交通省「世帯数及び住宅戸数の推移」)
 
費用面を抜きにすれば、新しくて綺麗な住宅の人気が高いのは当然で、特に賃貸住宅では経営サイドにおいても新築直後の稼働が勝負です。資金的な都合などで、中古住宅の需要もあるとはいえ、誰もが潜在的に持っている新築住宅への憧れは、供給側にとって大きな利点でしょう。
また、住宅を仲介する不動産会社でも、新築で価格の高い物件ほど利幅が大きく、こうした三者三様のメリットから、どうしても新築住宅が増えやすい土壌があります
 

・新設住宅着工戸数と滅失戸数の比較
いつかは新しい住宅に住みたい需要があることは普通ですし、それ自体は環境面を除けば問題なく、経済的観点ではむしろよいことです。
問題は新設によって不要となった住宅が、無くならないことにあります。
 
単純計算で建てられる戸数と解体される戸数を比べれば、どのくらい住宅が増えているかが分かります。
 
(単位:千) 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年
新設住宅着工戸数 775 819 841 893 987
滅失戸数 112 137 115 125 127
その差 +663 +682 +726 +768 +860

(データ:国土交通省「新設住宅着工戸数の推移」及び「住宅の滅失戸数の推移」)
 
データ上で毎年住宅が増えていると確認でき、その差が広がっているのがポイントです。
世帯に対する住宅数が過剰になっていることが明らかなのに、住宅が増え続けているのは、やはり新築住宅への需要が大きいからでしょう。
例えば、古いマンションを壊して複数の戸建を新築する例は少ないですが、複数の古い戸建を壊して(用地買収して)新しくマンションが建つ例はよく見られるように、それだけでも新築住宅を増やす要因です。
 
 
・滅失戸数が増えない理由
空き家になっていても解体されない、つまり滅失戸数が増えない原因は、特に個人所有であるとき顕著に現れます。
1つは経済的な理由で、住宅がない土地では固定資産税が最大4.2倍に増えてしまうこと、解体のために費用を要する点です。
つまり、お金を使って解体したのに税金が上がるので、使っていなくても解体しようと考える人が少ないのは道理でしょう。
また、家の存在は所有者にとって経済的な価値以上に「想い」を含んでおり、解体をためらってしまう側面があります。生活の拠点として長い間住み続けた住宅を壊してしまうことは、実家なら一層ためらいが大きいと考えても不思議ではありません。
もう1つ深刻な問題があり、古い空き家では、現行の建築基準法施行以前に建てられ、再建築が認められない土地になっているケースがあります。
再建築できないのですから、解体してしまうと宅地としての用を足さず、放置するしかなくなっている空き家が存在します
 
 ・住宅需要の減少
世帯数は増加傾向でも、日本の人口は既に減少し始めており、今は世帯あたりの人数が減っているだけで、世帯数自体は増えています、やがて世帯数も減少に転じることは明らかです。
世帯数の減少は、それだけ住宅の需要が失われることに直結し、新築住宅が増加し続けていることを考えれば、近い将来に必ず住宅の過剰供給が問題になるでしょう。
つまり、売れない・貸せない時代の到来は、現状が続けば間近に迫っています。
 
・晩婚化と出生率の低下
将来の空き家を増やす原因の1つである、人口減少から世帯数減少に続く流れは、晩婚化と出生率の低下にも大きく影響されます。
ただし、出生率は近年僅かに上昇しており、社会全体による出産・育児へのサポートが、徐々に成果を上げ始めているのでしょうか。
それでも、単純に考えて20年後には成人女性の数が減っているため、もし出生率が2になったとしても、人口が増えるには至りません
仮に移民等を加えて人口が増えるとしても、それ以上に新築住宅は増えるのであって、空き家問題はなくならないという状況です。
 
② 中古住宅の人気がない
リフォームやリノベーションによる中古住宅の再生は、費用を抑えて質の高い住空間を得るために有効ではあっても、既に住宅を取得している層が中心です。
これから取得する人は、どうしても品質が確実な新築住宅に目が向きますので、中古住宅は築浅と程度のよさが決め手になっていきます。
ところが、一般に住宅の価値は、最初の10年で大きく下落するのに対し、住宅ローンの残高は返済初期に減りにくい特性から、いわゆるオーバーローン状態になって売りにくい状況が続いてしまいます。
しかも、新築住宅が増えるとそれだけ中古住宅も増えていくわけで、市場原理から価格下落が加速して、中古住宅は飽和状態が止まらなくなります。
また、木造の売買物件は、築10年で半額程度まで下落しますが、木造の賃貸物件では、築10年で家賃が新築時の半分になることは考えられません。
その結果、中古の賃貸物件は借りる側にとって割安感が小さく、賃貸でも大きく家賃に差がない新築に流れて、中古物件の空き家を増やしていきます。
ようするに、売ることも貸すこともできない状況に陥る物件が増えるのです。
 
③ 空き家予備軍の増加
人間に寿命がある以上、高齢者世帯ほど空き家になる可能性が高まり、それが単身世帯なら、なおさら空き家になりやすいのは避けられません。
65歳以上の高齢者世帯は、平成7年には約10%に達し、平成22年には約20%、平成25年の時点で23.2%にもなりました。
(「厚生労働省大臣官房統計情報局 国民生活基礎調査」より)
 
④ 高齢者世帯はまだまだ増える傾向
全体の世帯数はいずれ減りますが、平成37年の高齢者世帯数は、平成22年に比べて約400万世帯増えると推計されており、総数が都市圏に多いのは当然として、増加率でも都市圏が高いと予測されています。
そして、約400万世帯増加のうち、単身世帯数は約200万世帯と予測され、空き家になりやすい単身世帯が最も多い構成に辿りつきます。
こうした人口と世帯の推計から、このままでは空き家の増加は避けられないのがよくわかります。
 
⑤Uターン率が低いと実家の空き家が増える
平成23年の人口移動調査(国立社会保障・人口問題研究所)によると、出生県から移動し、調査時点で出生県に戻っているUターン率は約34%です。
推移としては上昇傾向にあるとはいえ、それでも1/3しか戻っていません
よくある事例では、子供が県外へ移動後結婚して戻らない場合、親を呼び寄せる・親が亡くなることで、実家が空き家になります。
もちろん、全国的・全体的な数字なので、かんたんには分析できませんが、実家が空き家になる割合は高いと推測できるでしょう。
 


次回は、空き家問題に対する対策についてをとりあげていきたいと思います。
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2017-12-14 15:17:22

空き家問題とは?増加の原因と対策・解決策について③


空き家問題とは? 増加の原因と対策・解決策について③

空き家問題に特化した法律
『空き家対策特別措置法』が平成27年2月に施行されました。
一部条文の施行が留保されていましたが、同年5月26日から完全施行されました。
空き家の問題が大きくなってきております。空き家問題について掲載してきたいと思ます。、

今回は、空き家問題の現状 について

空き家はどのくらい増えているのか?
総務省統計局では、5年ごとに住宅・土地の統計調査を公表しており、その推移を確認することで、空き家がどのくらい増えているのか知ることができます。

・空き家率の推移
全国の空き家率は増加の一途で、平成25年においては空き家数が820万戸、空き家率が13.5%となりました。5年前に比べると、空き家数は63万戸の上昇、空き家率は0.4%の上昇です


・空き家の種類別割合とその推移
空き家の種類別割合でみると、二次的住宅、賃貸用住宅、売却用住宅の割合はいずれも減少傾向にあるのに対し、その他に分類される空き家の割合が増えました
この傾向は、問題とされるその他の空き家に、対策が必要なことを裏付けています。

・空き家問題は地方に限らない
空き家率は地方で高くなっていますが、空き家数に注目すると、人口の多い地域で多くなるのは当然で、大都市を含む都府県の空き家数は次の通りです。
 
都道府県 空き家数
東京都 817,100
神奈川県 486,700
愛知県 422,000
大阪府 678,800
(データ:平成25年住宅・土地統計調査)
 
4つの都府県を合計すると、約240万戸の空き家が存在します。
全体が820万戸ですから、4都府県で約29%にも達し、対策が急がれるのはむしろ都市圏であるとわかります。
 
・空き家問題はマンションでも
株式会社東京カンテイの調査によると、平成26年のマンション化率※は、全国平均で12.08%、最もマンション化率が高い東京都では26.38%でした。
マンション化率とは、総世帯数に占めるマンション戸数の割合
住宅の既築戸数が飽和しているのですから、将来の世帯減少でマンションでも空き家が増え、いつかは建て替えや除却(解体)を必要とするのですが、マンションの場合には、戸建と異なる独特の事情を含んでおり、空き家問題をさらに複雑化させています。
 
・マンションの建て替えや除却は難しい
マンションは朽ちた戸建の空き家と異なり、構造が頑丈で自然倒壊は考えにくいですし、管理組合の運営が適正なら、修繕積立金で必要な修繕が行われているはずです。
したがって、周辺に与える危険性での問題は小さいのですが、老朽化したマンションは空き家の解消が難しく、なおかつ建て替えも除却もしにくい特徴があります。
 
大前提として解体・建て替え費用の負担問題はあるにしても、それ以前に分譲で区分所有権を持っている権利者との調整は、極めて難航するのが普通です。
法律上は、4/5以上による多数の決議を要し、建て替えに反対する一部の権利者に対しては、区分所有権の売り渡し請求をする流れです。
決議のための総会を開くにしても、空き家になっていれば、どこかにいるはずの区分所有者に議決権の行使(委任を含む)を依頼しなくてはならず、空き家になった理由が死亡によるときは、相続人を対象とするのでさらに面倒です。
 
このように空き家が多いマンションの建て替えは、合意形成から難問が山積みで、廃墟化していく様相が目に浮かびます。
一方の除却(解体)による根本的な空き家の解消ですが、残っている住人の抵抗に合うのは必至で、やはり思うように進むはずもありません。
マンションでは権利者1人あたりの土地面積が小さく、土地の資産価値は僅かです。
仮に修繕積立金で解体費用が足りるとしても、住むところを失い、解体後の土地が売れたとして僅かなお金を手に入れるくらいなら、古くて空き家が多いマンションとはいえ、住み続ける選択になるでしょう。

次回は、空き家問題の原因についてをとりあげていきたいと思います。
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2017-11-30 13:50:35

空き家問題とは?増加の原因と対策・解決策について②


空き家問題とは? 増加の原因と対策・解決策について②

空き家問題に特化した法律
『空き家対策特別措置法』が平成27年2月に施行されました。
一部条文の施行が留保されていましたが、同年5月26日から完全施行されました。
空き家の問題が大きくなってきております。空き家問題について掲載してきたいと思ます。、

今回は、

2. 空き家が増えると何が問題になるのか

 なぜ、空き家はいけない?のでしょうか。

空き家を放置すると・・・・危険です。
・ 気づかないうちに柱や天井が腐る
・ 正面から見てまともでも、裏側や内部は酷い場合もある。
などあります。
 
空き家を放置しておくとどうなってしまうのでしょう。
日本全国で空き家が増えていったとして、所詮は他人の家ですし、自分には関係ないと思うかもしれません。そして、自分にも何か災難が降りかからなければ、なかなか問題視されないものです。
ましてや空き家がもたらすマイナスの影響は、潜在的に含まれる要素で、空き家になったから絶対何か起こるとは限りません。
それでも国が動き出すくらいですから、緊急の課題であることは確かです。

①周辺への悪影響
徐々に傷んだ空き家は、次第に崩れ、倒壊の危険が増したり、屋根材などが飛散したりと、その敷地内だけの影響では済まなくなっていきます。
また、人がいないと害獣・害虫の温床になりやすく、やがて周辺へ拡散
最近頻繁に起こる、集中豪雨による浸水被害を受けてもそのまま放置されるので、極めて不衛生かつ危険な状態に変わってしまうのです。
さらに言えば、古くなった家は耐震性能も失われ、巨大地震に抵抗できません。
極端な例では、震災時に最初に倒壊して、重要な道路を塞いでしまうかもしれず、周辺住民の避難や救出に障害になる可能性すら秘めています。
ようするに、空き家を放置すると近所迷惑になりやすい要素が多く、地域によっては景観上の問題にも発展して、その影響度は大きいと考えられています。
 
②犯罪の増加
空き家があることで犯罪が増加するとしたら、まずは不法侵入や不法占拠です。
ただし、それだけでは所有者に対する不法行為なので周辺まで至りませんが、死角になった空き家の内部で犯罪が行われるようでは、周辺の治安にも影響しますし、安心して暮らすことができなくなります。
そして最も悪影響を与えると思われる犯罪は、空き家への放火の増加です。
最近は、空き家への放火がニュースで取り上げられることも多くなっています。
しかも放火犯は、連続して放火をする傾向が強く、空き家の多い地域は格好のターゲットになってしまうことから、朽ちた木造住宅は相当危ないと言えます。
日本の住宅事情では火災が起きると近隣への被害は免れず、近くに管理されていない空き家があるだけで、不安な時代になってきています。
 
③住宅市場の需給バランス悪化
現時点でも総世帯数以上に住宅は供給されており、供給が過剰な状態です。
しかし、地域の住宅数に合わせて人が集まるわけではなく、ある程度は過剰な状態でなければ、望んだ地域に住むこともできなくなってしまうため、“ストック”は必要です。
それでも、人口減少と世帯数減少が始まって、住宅が減らないとなれば、空き家が増えすぎて、住宅の資産価値が下がっていくかもしれません。
空き家が中古市場に溢れかえり、価格崩壊に繋がったとき、空き家ではない住宅の所有者も、その影響を大きく受けることになります。
 
空き家の特徴 懸念される悪影響
全体の傾き、主要構造の腐食 倒壊による被害
屋根・外壁の剥離 飛散による被害
設備、門・塀の老朽化 脱落や倒壊による被害
浄化槽の破損、汚水の流出 衛生上の影響
ごみ等の放置、不法投棄 衛生上の影響、害獣・害虫の増殖
景観計画に不適合 景観上の影響
窓ガラスの破損、門扉の破損 不法侵入の危険
植栽の不整備 害獣・害虫の増殖、道路通行上の影響

 
次回は、空き家問題の現状をとりあげていきたいと思います。

 堀 行政書士事務所
 TEL 0568-67-8115
 E-mail irokawa@mth.biglobe.ne.jp

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2017-11-16 14:12:57

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