実は、不動産登記は必ずしなければならないというわけではありません。
別にしなかったからといって「法律違反!」となるわけではなく、相続登記をするかどうかは各々の自由のなのです。しかし、相続登記をしないと、以下のような不便が生じることになります。
①不動産の売却等、処分が困難になる!
相続登記をしなければ、登記名義は被相続人のままということになります。
そうなると、いざ不動産を売却する段階になっても、相手方が登記を見て「売主と違う人が名義人になっているじゃないか!怖いから買うのはやめよう…」となってしまうおそれがあります。不動産は高い買い物ですから、危険を冒してまで買おうとする人はなかなかいません。
同じ理由で不動産を担保にお金を借りるのも困難になります。
銀行等の金融機関であれば、相続登記をしなければ融資を受けることができません。
②不動産を奪われてしまうおそれがある!
たとえば、長男と次男の2人が相続人であり、2人で遺産分割協議を経て「家は長男のものとする」
ということが決められた場合、長男が家を単独で所有することになります。
ところが、このように決められたにもかかわらず、次男が遺産分割協議前の共有持分1/2(遺産分割協議がなされることで、次男はこの共有持分を失っているはずなのですが)を第三者に勝手に売却してしまった場合、長男は「遺産分割協議で家は自分の単独所有になりました」という旨の登記をしていなければ、そのことを第三者に主張することができなくなってしまいます。
自分のものだと主張できなくなる結果、長男は1/2の持分を第三者に奪われてしまい、単独で所有するはずだったのに、第三者と共有することになってしまうのです。
このような事態が起こり得るため、遺産分割後は速やかに登記をする必要があるのです。
③そのまま放置しておくと相続人が増えてしまい、どんどん相続登記が困難になっていってしまう!
たとえば、父が死亡し、子ども2人(長男・次男)が相続したとします。
しかし、相続登記をしないまま長男が死亡してしまい、さらに長男に妻と子どもが3人いたとします。
そうすると、父から相続した遺産を長男と次男が相続し、さらに長男を妻と子ども3人が相続することになるため、もともとあった父の遺産は次男・長男の妻・長男の子3人の計5人が共有する状態になります。
このような具合で相続人がどんどん増えていくと、その分遺産分割協議がどんどん難しくなっていきます。
遺産分割協議は相続人全員でする必要があり、かつ全員一致でなければ成立しません。
そのため、ただでさえ人数が多いとなかなか成立しないのに、よく知らない相続人がどんどん増えていくことになるともはや円満な話し合いが不可能に等しくなっていくのです。
そのため、相続人が増えて行ってしまう前に、速やかに遺産分割協議と相続登記を済ませて、
遺産の行方を確定しておく必要があるのです。
ここまでのまとめ
• 登記は「これは○○の所有物です」ということを公示するものです.
• 相続によって、遺産はいったん相続人の共有状態になり、その後の遺産分割協議によって行方が確定することになります.
• 遺産分割協議が成立したら、速やかに相続登記をすべし。そうしなければ様々な不便を被ることになります.
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