2016年から変わること2016年1月~マイナンバー制度がスタートし、毎年4月、10月と少しずつ制度や法改正がありますが、
なかでも今年は、家庭向け電力自由化や、短時間労働者(パートタイム就労)への社会保険適用基準の緩和などと、私たちの生活に関わってくることがたくさんあります。
この中から、
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電力の自由化、ついてピックアップしてきたいと思います。
2016年4月〜、家庭向けの電力自由化が始まる 電力自由化って何?現在、一般家庭の電気は、国が決めた10社の電力会社が地域ごとに独占しています。住んでいるのが首都圏なら東京電力、関西なら関西電力など、決められた電力会社からしか電気を買うことができません。平成28年4月からは、電力会社だけでなくさまざまな会社が電力を販売できることになり、どこで電気を買うかを選べるようになるのです。電力自由化後は、電気の送配電事業を除いて、電気を作る発電や電気の小売は電力会社以外の会社も自由に参入できるようになります。
購入先の選択肢が増えると、どんなことができるようになるの?
自分に合った事業者・料金プランを選択することができます自分に合った料金プランを選択することができるようになるため、電気代が節約できたり、クリーンな電力を選べたりするようになります。例えばこんなプラン
・どんな事業者から電気を購入できるようになるの?
小売電気事業者に登録された事業者から電気を購入することができるようになります。現在、199社が小売電気事業者に登録されており※1、ガス会社や通信会社、既に高圧向けに電力を販売していて実績のある新電力などが登録しています。
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小売電気業者数 現在199社 2016.2.23現在 ・ローカルエナジー株式会社・ZEパワー株式会社・株式会社アドバンテック・日高都市ガス株式会社・株式会社フォレストパワー・株式会社ミツウロコ・九電みらいエナジー株式会社・MBエナジー株式会社・株式会社トドック電力・株式会社エナジードリーム・和歌山電力株式会社・ひおき地域エネルギー株式会社・NFパワーサービス株式会社・SBパワー株式会社・株式会社エコサポート・ワタミファーム&エナジー株式会社・株式会社バランスハーツ・豊通ニューエナジー株式会社・鈴与商事株式会社・株式会社ベイサイドエナジー・アンフィニ株式会社・大東エナジー株式会社・湘南電力株式会社・株式会社日本エコシステム・株式会社CNOパワーソリューションズ・株式会社サン・ビーム・株式会社アシストワンエナジー・HTBエナジー株式会社・株式会社早稲田環境研究所・大和ハウス工業株式会社・JLエナジー株式会社・ダイネン株式会社・奈良電力株式会社・日立造船株式会社・大東ガス株式会社・パナソニック株式会社・アストモスエネルギー株式会社・株式会社関電エネルギーソリューション・株式会社エプコ・MCリテールエナジー株式会社・株式会社北九州パワー・武州瓦斯株式会社・株式会社みらい電力・大垣ガス株式会社・株式会社藤田商店・株式会社ケーブルネット・株式会社ジェイコム九州・株式会社ジェイコム熊本・株式会社グローバルエンジニアリング・九州エナジー株式会社・株式会社トヨタタービンアンドシステム・株式会社S-CORE・株式会社エナリス・パワー・マーケティング・株式会社エヌパワー南九州・みやまスマートエネルギー株式会社・エフィシエント株式会社・株式会社生活クラブエナジー・生活協同組合コープこうべ・株式会社シーエナジー・角栄ガス株式会社・京葉瓦斯株式会社・凸版印刷株式会社・伊勢崎ガス株式会社・キヤノンマーケティングジャパン株式会社・株式会社とっとり市民電力・株式会社イーエムアイ・佐野瓦斯株式会社・桐生瓦斯株式会社・森の電力株式会社・土浦ケーブルテレビ株式会社・株式会社F-Power・イーレックス株式会社・リエスパワー株式会社・イーレックス・スパーク・マーケティング株式会社・イーレックス・スパーク・エリアマーケティング株式会社・イーレックス販売3号株式会社・株式会社SEウイングズ・株式会社イーセル・株式会社エネット・日本アルファ電力株式会社・須賀川瓦斯株式会社・昭和シェル石油株式会社・株式会社ケイ・オプティコム・エネサーブ株式会社・株式会社サイサン・ミツウロコグリーンエネルギー株式会社・株式会社トラスティルグループ・ネクストパワーやまと株式会社・日本テクノ株式会社・中央電力エナジー株式会社・株式会社Looop・東燃ゼネラル石油株式会社・株式会社ナンワエナジー・静岡ガス&パワー株式会社・荏原環境プラント株式会社・東京エコサービス株式会社・ダイヤモンドパワー株式会社・出光グリーンパワー株式会社・プレミアムグリーンパワー株式会社・株式会社エヌパワー・株式会社新出光・中央セントラルガス株式会社・にちほクラウド電力株式会社・一般財団法人泉佐野電力・総合エネルギー株式会社・株式会社グリーンサークル・株式会社ウエスト電力・エクレ株式会社・北海道瓦斯株式会社・一般財団法人神奈川県太陽光発電協会・株式会社日本エナジーバンク・新エネルギー開発株式会社・伊藤忠エネクス株式会社・株式会社デベロップ・株式会社V-power・大和エネルギー株式会社・株式会社アップルツリー・大阪瓦斯株式会社・エフビットコミュニケーションズ株式会社・JX日鉱日石エネルギー株式会社(エネオス)・真庭バイオエネルギー株式会社・三井物産株式会社・オリックス株式会社・株式会社エネサンス関東・みんな電力株式会社・株式会社洸陽電機・株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ・株式会社エネルギア・ソリューション・アンド・サービス・青梅ガス株式会社・株式会社コンシェルジュ・株式会社サニックス・サミットエナジー株式会社・株式会社サンエー ・テス・エンジニアリング株式会社・リコージャパン株式会社・東京ガス株式会社 ・株式会社イーネットワークシステムズ・伊藤忠エネクスホームライフ関東株式会社・株式会社東急パワーサプライ・王子・伊藤忠エネクス電力販売株式会社・伊藤忠商事株式会社・株式会社エコスタイル・入間ガス株式会社・テプコカスタマーサービス株式会社・株式会社とんでん・新日鉄住金エンジニアリング株式会社・KDDI株式会社・ミサワホーム株式会社・イワタニ関東株式会社・イワタニ首都圏株式会社・サーラeエナジー株式会社・株式会社地球クラブ・株式会社エコア・西部瓦斯株式会社・東邦ガス株式会社・シナネン株式会社・株式会社シナジアパワー・川重商事株式会社・大一ガス株式会社・株式会社リミックスポイント・大阪いずみ市民生活協同組合・株式会社中海テレビ放送・パシフィックパワー株式会社・株式会社いちたかガスワン・株式会社ジェイコム足立・株式会社ジェイコムイースト・株式会社ジェイコム市川・株式会社ジェイコムウエスト・株式会社ジェイコム大田・株式会社ジェイコム小田原・株式会社ジェイコム川口戸田・株式会社ジェイコム北関東・株式会社ジェイコムさいたま・株式会社ジェイコム札幌・株式会社ジェイコム湘南・株式会社ジェイコム多摩・株式会社ジェイコム千葉・株式会社ジェイコム千葉セントラル・株式会社ジェイコム東葛葛飾・株式会社ジェイコム東京・株式会社ジェイコム東京北・株式会社ジェイコム中野・株式会社ジェイコム八王子・株式会社ジェイコム日野・株式会社ジェイコム船橋習志野・株式会社ジェイコム港新宿・株式会社ジェイコム南横浜・株式会社ジェイコム武蔵野三鷹・鹿児島電力株式会社 ・太陽ガス株式会社・アーバンエナジー株式会社・パワーシェアリング株式会社・合同会社北上新電力・タカギスマートパワー株式会社・株式会社タクマエナジー・株式会社スマートテック・水戸電力株式会社・丸紅株式会社・丸紅新電力株式会社 |
火力発電や水力発電、風力発電、太陽光発電、バイオマス発電など発電方法や電気を提供する地域は、小売電気会社ごとに異なっています。
・電力自由化でどんなことができるようになるの?電力自由化は、“発電の自由化”、“電力小売りの自由化”、“送・配電の自由化”の3つに分けられます。私たちへの影響が大きいのは、2016年4月に始まる家庭向けの「電力小売りの自由化」です。 今までは、東京に住む人は東京電力、大阪に住む人は関西電力、と各地域ごとにある電力会社からしか電気を購入することはできないように電気事業法で規制されていました。電力自由化でこの規制が緩和され、「新電力」と呼ばれる新しい電力会社が参入できるようになります。これからは、例えば携帯電話のように、複数の事業者が提供する料金プランや契約メニューの中から自分に最適なものを自由に選ぶことができます。 電力自由化のメリット•メリット1:電力会社が選べる•メリット2:セット割引などプランの選択肢が増える•メリット3:環境に優しい電気など、電気の特性からも選べる ・選ばれるため、電力会社が競争し創意工夫する最大のメリットは、色々な電力会社の電気料金プランを比較して選べるようになることです。今まで電力会社は地域独占で競争相手はいませんでしたが、電力自由化で様々な会社が新電力として参入し、比較され、競争が起こります。これからは、電気料金の値下げ、割引き、ポイント付与など価格面でのアピールや、今までに無かったユニークなプランやサービス、環境に配慮した電気の使用などにより差別化する必要があるのです。 すでに100社以上が電力小売りに必要な小売電気事業者の登録申請をしており、この中には発電設備や燃料の調達ルートを持つガス会社や石油会社だけでなく、通信会社や旅行会社など異業種の企業も含まれています。
こうした企業は新たに発電所を建設するか、提携している発電所や卸電力取引所などから電気を調達することになります。 ・セット割引でお得にまた、自社のサービスとのセット割引も目玉の一つと言えます。通信会社であれば携帯電話やインターネット回線とセットでお得になる電気料金プランが考えられますし、自動車メーカーであれば電気自動車とセットの電気料金プラン、電機メーカーであれば太陽光発電システムや家庭用充電装置とセットの電気料金プランなど、新電力各社が得意とする分野と電気料金を組み合わせたユニークなプランが期待できます。従来の電力会社にはなかった全く新しいプランが登場するかもしれません。電気代と他の料金をセット販売するサービスが増えそうです。※ いくつか例を挙げます。東京ガス・・・電気とガスのセット販売。東京電力・・・ソフトバンク携帯とのセット割引、TポイントやPontaポイントとの連携。中部電力・・・Docomoポイントとの連携。関西電力・・・家計簿ソフトマネーフォーワードと連携JX日鉱日石エネルギー・・・KDDIと連携、ガソリンを値引き販売。 ・環境に優しい電気など、様々なニーズに対応加えて、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで発電した電気や、二酸化炭素排出量の少ない電気、原発由来でない電気を使いたいなど、環境に配慮した電気が求められています。逆に、とにかく安い電気を大量に使いたいという人もいるでしょう。このような、多様化する個人のニーズにこまやかに対応できるプランも登場するはずです。他にも、高齢者の見守りサービスや水漏れ、玄関の鍵の紛失などの際に駆けつけてくれる暮らしの安心サービスが提供されたり、例えばガス会社で電力を契約すれば、ガスと電気の請求書が一緒になるなどのメリットも考えられます。 ・電力自由化でどんな料金プランが出てくるのか?電力自由化後の料金プラン新電力(PPS)は、鉄鋼、化学、石油などのように、広大な敷地内に発電設備を持ち、すでに電力販売実績がある会社もあれば、巨大な発電設備を持たない、電機メーカー、住宅・不動産、商社、情報、通信会社など様々です。今後は、料金はもちろん各企業の特色をフルに活かしたユニークな料金プランが提案されるようになるでしょう。具体的なプラン内容については、今後の発表に期待したいところですが、すでに電力自由化がスタートしている諸外国の事例を参考に、電力自由化後の料金プランを予想してみましょう。 ・セット販売バンドルサービスともいわれ、電力とその他のサービスや商品を組み合わせて販売することです。国内では、ガスや水道料金、通信サービス、ケーブルテレビ、ガソリンや灯油、サービスポイントなどとのセット販売が予想されています。なお、電力とガスをセットで販売するサービスをデュアル・フュエルといい、セット販売によるシェア拡大や、料金徴収システムの一元化などによるコスト削減が期待できることもあり、割引料金を設定するのが通常です。イギリスなどヨーロッパの一部の国では一般的な販売方法となっています。 ・グリーン電力グリーン電力とは、風力、太陽光、バイオマス(生物資源)などの再生可能エネルギーによって発電された電力のこと。グリーン電力は発電コスト高いため、通常の電力より割高になることが多いのですが、環境への負荷が少ないこともあり、環境意識の高い消費者からの需要が見込まれています。すでに海外では追加料金を払ってグリーン電力を購入する動きも活発化しています。 ・固定料金と変動料金一定期間、料金単価が固定されているのが固定料金、電力を売買できる電力卸市場での変動する料金にあわせて料金単価が変わるのが変動料金。固定料金の場合は、契約期間が定められる場合が多く、途中解約すると違約金が発生するのが一般的です。 ・アグリゲーション多数の電力消費者を集約し、小売電気事業者と契約交渉を行うアグリゲーターが、契約を一括で取り扱うことをアグリゲーションといいます。マンションなどの共同住宅が、居住者に供給する電気の契約を一括で引き受けるのもアグリゲーションの一種です。一括交渉することで、個別に契約するより電気料金が安くなるというメリットがありますが、自分の望む料金プランを自由に選択できないなどのデメリットもあります。 ・多種多様な料金プランからどうやってプランを選択するか電力比較サイトで切り換えが進んだイギリス小売電気事業者として登録されている数十社がそれぞれ10種類の料金プランを用意したならば、消費者はいくつものプランの中から自分に合ったプランを探すことになります。消費者が簡単に、自分の家庭に見合った電力会社や料金プランを選び、簡単に見直しができるしくみがなければ、電力会社や料金プランの検討や変更を行うのも大変です。そこで期待されるのが、数多くある料金プランを一目で比較できるWebサイト(いわゆる比較サイト)の登場。いち早く電力自由化に踏み切ったイギリスでは50%近い家庭で料金プランを変更していますが、これには公正に料金プランが比較でき、手軽に電力会社や料金プランの変更ができるWebサイトの存在が理由としてあげられます。国内でも、様々なプランを、公正でわかりやすく比較、診断できるサイト(別サイトへ 価格.COM、)
の充実が求められます。
・電力自由化で通信会社と電力会社が提携するわけ2016年4月にはいよいよ家庭向けの電力自由化がスタート。それによって、7.5兆円市場を目指して各社の競争が激化しています。2015年8月3日からは、一般家庭にも電力を販売できる小売り電気事業者としての登録申請も始まっており、スタート時には数多くの事業者がしのぎを削ることになりそうです。こうした事業者には、従来から地域で独占的に電力を販売してきた東京電力や関西電力など10の電力会社や、すでに企業向けに電力販売事業を開始している会社、電機メーカー、住宅・不動産、商社、情報、通信会社など業種に関係なく様々な会社があります。中でも注目されているのは、NTT・KDDI・ソフトバンクの通信大手3社の動向です。 ・通信会社と電力会社が提携する理由は一体?多くの顧客と販売網を持つ通信会社電力自由化が始まると既存の大手電力会社は従来の供給エリアを越えて、例えば関西電力が東京電力のエリアであった首都圏で電力の販売(いわゆる越境販売)を行うことが可能になります。しかし従来の電力会社は通信会社のように日本全国に細かな営業拠点を持ちませんし、一般顧客との個別対応などのノウハウがあるとは限りません。通信大手3社は、それぞれがすでに全国規模で数千万件の契約者を抱えており、独自の販売網もあります。さらに、料金回収システムや顧客へのサポート体制もすでに整っていますし、サービス面や技術面、営業面で相互補完できる部分が多いこともポイントです。電力自由化後は、日本全国で通信と電力がセットになった料金プランが登場してくることでしょう。
・ポイントなど、サービス競争が激しくなる市場に参入した小売電気事業者はお互いにライバルとして料金やサービス面で激しい競争を行うと同時に、マイナス面を補完したり戦略上の都合でさらなる提携や連携を模索することも避けられません。たとえば、東京電力はライバルの中部電力、“Ponta”を運営するロイヤリティ マーケティング、“T-POINT”を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブとの提携を発表していますし、さらにNTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクとの提携も協議していると報じられています。今後は電力と通信だけにとどまらない様々な異業種コラボが登場してくることになるでしょう。
・電力自由化で電気料金を下げられるワケこれまでは、将来の一定期間に見込まれる電力使用量と設備を想定し、必要な原価に利益を加えたものを総括原価として電気料金を算定してきました。こうした総括原価方式でも能率的な経営が行われることが前提になっていますが、地域の電力会社間には競争がないため、国の審査は受けますが、ある意味電力会社の言い値で電気料金が決められていました。 そこに各社がサービスを競い合う競争原理を導入することで、さらなる経営効率化を促すべきとの考えのもと進められている電力自由化。新しく電力事業に参入する会社は、石油会社、通信会社、商社、製紙会社、電機メーカー、ガス会社など様々です。こうした会社はすでに収益部門を持っており、電力事業への参入で新たな収益部門を育てると同時に、既存の事業部門とのシナジー効果も期待しています。 電力事業単体ではそれほど収益が上がらなくても、電力事業に参入することで会社全体の売上や収益を増加させようと考える会社もあるでしょうし、電気料金を下げることで顧客との新たな結びつきを作り本業の収益をアップさせることを狙う会社もあるでしょう。携帯電話会社を乗り換えることで携帯電話の料金が安くなったような状況が電気料金でも起こる可能性が十分にあります。 電力自由化のデメリット•デメリット1:電力の安定供給への不安•デメリット2:電気料金の値上がりの可能性 ・電力供給面での過度な不安は不要「電力の安定供給への不安」は、長年にわたる技術革新やノウハウの蓄積もあり、日本の停電回数は諸外国と比べて格段に少なく、電力を安定的に供給してきました。しかし、新電力が電力の安定供給をできるか不安に思う人も少なくありません。また、従来の電力会社は、国による審査・認可を受ける一方で電力の供給義務もありました。しかし、電力自由化後の2020年以降に供給義務が撤廃が検討されており、「電力の安定供給への不安」が取りざたされています。電力自由化により、発電設備の運営管理や保守などの技術力やノウハウが不十分な事業者が参入する可能性は否定できませんし、利益最優先の経営を進めることで、設備投資に十分なお金をかけなかったり、十分な余力がない発電設備で発電を行ったり、ということもありえます。そのため「大規模停電が増えるのでは」という声があるのも事実です。 こうした懸念に対して、政府は安定供給のためのルールを作ることで対応しています。安定供給の要である送配電網には規制を残し、既存の電力会社の独占を認める代わりに安定供給の義務を課すのです。仮に新電力がトラブルなどで十分な電力を確保できなかった場合、既存の電力会社が不足分を補うことになっています。 新電力と契約した場合であっても、送電線は今までのものを使用し、専用の回線が敷設されるわけではありません。新電力は契約者が消費した電力分を送電線網に戻す仕組みになっているのです。その送電線網は既存の電力会社が管理することになっており、電力が不足(インバランス)した場合は既存電力会社が不足分を補う義務があるのです。新電力はこうした場合にインバランスペナルティーという罰金のようなものを既存の電力会社に払う必要があり、それを避けるためできる限り安定的に電気を供給しようとします。さらに、安定供給を確保する仕組みとして、電力会社に対し十分な供給力の確保が義務付けられています。電力小売りに参入に必要な「小売電気事業者」の登録を経済産業省に行う際、供給力や反社会的勢力との関係がないかなどが審査されます。また、「広域的運営推進機関」を設け供給力の調整や地域間の電気の融通などをとりまとめ、安定供給に支障が生じないような措置が施されています。つまり、私たちにとっては請求書を送ってくる相手が変わるだけで電力供給についていえばなんら変化はありませんので、供給面での過度な不安は不要といえます。 値上がりの可能性はあるが、2020年までは既存の料金メニューも選択できる「電気料金の値上がり」は、これまで触れた競争原理を導入する電力自由化と逆行するようですが、すでに電力自由化に踏み切っている諸外国では、実は電気料金は値上がり傾向にあります。電力自由化になるまでは電気料金には競争はありませんでした。その理由は、電気料金が高くなりすぎないように国が審査をして、料金の大幅な値上がりを規制していた側面もあります。電力自由化はこうした規制をなくすものですが、少なくとも2020年までは既存の電力会社は規制料金のメニューも提供することになっており、いたずらに電気料金が高くなることは当面ないと言えます。 とはいえ、2020年以降どうなるかはまだ決まっていません。
料金規制が完全に取り払われた場合、長期的な視野で国にコントロールされていた電気料金は、電力自由化後は需要と供給が一致するポイントで料金が決まることになり、競争により安くなる可能性がある一方、天候や災害、燃料費の高騰などで高くなってしまう可能性もあります。 諸外国の電気料金高騰の理由の多くは、天然ガスや石油などの燃料費の高騰や、再生可能エネルギー買取費用の増大が大きな要因ですが、こうした問題は日本も同様です。電力自由化導入当初は新規の顧客を獲得しようと競争が激化し、料金が下がる可能性は高そうですが、長期間にわたって電気料金が下がり続ける保証はありません。 ・電力自由化で問題になった例すでに電力自由化が進んでいる諸外国では、大停電や電気料金の値上がりという問題に直面しています。
カリフォルニアの大停電は、電力会社が十分な電力を確保できず必要な電力を消費者に供給できなくなったことが大きな原因です。ヨーロッパ各国での電気料金の上昇は発電に必要な燃料費の高騰や再生可能エネルギー買取コストの増大が大きな理由です。電力の安定供給と電気料金の値下げを同時に進めるのは難しいことですが、諸外国での事例や状況をふまえたうえで電力自由化に進む日本。適切な制度を作り、デメリットを克服するだけでなく、メリットをさらに享受できるようにしていくことが重要です。 Q&AQ:切り替えする手続きが面倒じゃないの?新しく契約する電力会社へ申し込みをするだけで、今の電力会社へ連絡はせずに切り替えができます。
また、Webでも簡単に申し込み手続きができるようになります。 Q:停電が増えたり、電気が不安定になったりしないの?新電力と契約した場合でも、電気を送る電線や設備はこれまで通り地域の電力会社(一般電気事業者)のものが使われて電気を家庭に届けます。そのため、万が一契約した新電力の発電量が不足した場合でも、地域の電力会社が不足分を補う仕組みのため、停電になったり、供給が不安定になったりすることはありません。 Q:マンション・アパートでも契約できるの?マンションやアパートなどの場合でも、自由に契約をすることができます。
ただし、管理組合等を通じてマンション全体で一括して契約している場合(高圧一括受電契約)は対応が異なるため、事前に管理組合等にご相談されるのがいいでしょう。 Q:電気代が高くなったりしないの?先行して電力自由化をしたイギリスでは、自由料金になってから値上がりしました。
日本ではそうした前例を受けて、競争環境が起こるように電力自由化後は現行の規制料金を残しつつ自由料金を設定するため、電気代が高くなるだけの電力自由化にはならないと期待されています。 Q:切り替え先の事業者が倒産したりしないの?国の審査を受けて登録された事業者が電気を販売します。責任持って電気を販売できるか国が審査をした上で、小売電気事業者として登録されます。 万が一、小売電気事業者が倒産・撤退した場合は、電気の供給が受けられなくなることがないように、セーフティネットとして最終的な電気の供給を実施することが、地域の電力会社(一般送配電事業者)に義務づけられています。少なくとも2020年3月までの間は現在の電力会社の小売部門に電気の供給が義務づけられていますので、切り替え先の事業者が倒産した場合でも、電気が滞ることなく、現在の地域の電力会社が設定している標準的な料金メニュー(経過措置の料金メニュー)で電気の供給を受けることができます。 Q:万が一、新電力の発電設備に異常が起こった場合はどうなるの?新電力の発電設備に異常が起こった場合、地域の既存電力会社のバックアップ供給をすることになり、電力供給が途切れることはありません。 Q:品質が劣化したりしないの?どの事業者の電気も、地域の既存電力会社の送配電設備を使って安定的に送られるため、品質に違いはありません。 Q:契約先を切り替えのときは工事が必要?インターネット回線と異なり、既に電気は家庭に送られてきているので開通に伴う工事は必要ありません。場合によっては、スマートメーターの設置が必要になりますが、基本的には立ち会いも必要なく設置されます。
(スマートメーターの設置費用は無料です。) Q:切り替えをするときに停電になるの?切り替えをする際に停電になることはありません。但し、スマートメーターの設置が伴う場合には、スマートメーター設置の際に、5分程度の停電が発生する場合があります。 Q:メーターをスマートメーターに取り替えるにはどうしたらいいの?電力自由化前にスマートメーターに取り替える場合には、地域の電力会社(一般電気事業者)にお問い合わせください。電力自由化後で、契約先を地域の電力会社以外にする場合は契約先にお問い合わせください。 Q:複雑化して料金プランの比較ができないのでは?価格.comでは、各社複数のプランがでてきても、その人に合った最適なプランが選択できるように2016年1月の事前予約のタイミングで、シミュレーションする機能をご用意する予定です。 Q:電力会社を切り替えたら誰が検針に来るの?電力会社を切り替えた場合でも、検針は引き続きこれまで通りの地域の電力会社(一般送配電事業者)によって行われます。ただし、スマートメーターを設置した場合は、原則現地での検針は必要がなくなるため、検針員が電気使用量を検針することはなくなります。なお、検針されたデータは地域の電力会社(一般送配電事業者)から切替先の電力会社に提供されます。 Q:申し込みをするときに準備しておくものは?現在の電力会社の電気ご使用量のお知らせ(検針票)をお手元にご用意ください。 Q:電気代は安くなるの?一番気になるのは、「電気代は安くなるの?」ということでしょうか。現在の一般家庭の電気料金は、たくさん電気を使うと単価が高くなる仕組みです。今後は“たくさん電気を使うと安くなる”のか、“少なく使う家庭が安くなる”のか、単価の計算の仕方も小売電気会社ごとに異なってくるのではないでしょうか? Q:電気を別の会社に変えると面倒じゃないの?電気を別の小売電気会社に変えると、今までのブレーカーを取り替えるところもありますが、無料で取替えしてくれるのが基本です。また、作られた電気を各家庭に送る仕事は、従来の電力会社10社が行うので、電気がとまったりする心配はなさそうです。万一、小売電気事業者が倒産などしても、地域ごとの電力会社が最終的に電気の供給を保障する仕組なのです。 既に大口消費者向けに実施されている電力自由化ですが、一般家庭へ普及することで選択肢が増えそうです。
1月からすでに小売事業者での受付が始まっています。