若年性認知症支援コーディネーターをご存知ですか?
中日新聞 2016.7.27掲載、認知症ネットより抜粋
まずは、
若年性認知症とは。
認知症は高齢者だけが患うものではなく、若い世代でも認知症になる事があります。
64歳以下の人が認知症と診断されると、若年性認知症と呼ばれるようになります。
物忘れが出始め、仕事や生活に支障をきたすようになっても、まだ若いという思いで認知症であるとは気付かなかったり、病院で診察を受けても、うつ病や更年期障害などと間違われることもあり、診断までに時間がかかってしまうケースが多く見られます。
※ 男性の方が多くなりやすい 厚生労働省が若年性認知症の実態を調査し、2009年に発表した結果によると、
若年性認知症患者は、
調査時点で4万人弱、
男性の方が女性よりも多く、
発病年齢は平均で約51歳との事。
若年性認知症は、脳血管性型とアルツハイマー型の2つが圧倒的に多く見られます。
罹患者は少数ですが、高齢者でも見られる前頭側頭葉型やレビー小体型、事故などで脳に損傷を受けたために起こる頭部外傷後遺症や、多量のアルコールを飲む事で脳が委縮する、アルコール性の認知症なども見られます。
◆初期に記憶障害や見当識障害が見られます 若年性認知症では、物忘れが見られ、仕事やプライベートで大事な予定を忘れてしまう場合があります。忘れた事を指摘されても、予定を組んだ事自体を忘れてしまうため、「あっ、忘れていた」と思い出せません。また今日の日付や、自分がいる場所がどこかわからなくなります。そのため、書類などに日付を書こうとしても書けない、良く出かける場所で迷子になるなど、そういった事が度重なりおかしいと気付く場合があります。
◆一度に複数の事を考える事が出来なくなります 料理が上手だったのに、手順などがわからなくなるため出来なくなったり、片付けもどこにどのように片付けたらよいかわからなくなり、部屋が散らかってしまう場合もあります。計算が出来なくなり、買い物をしても小銭を考えて出せなくなる事も。また車の運転は車線をはみ出したり、ブレーキが遅くなったりし危険な運転になる事が多くなります。
◆脳血管性ではまだら型となる場合が多い 脳血管性では記憶する場所に、出血や梗塞が起こり認知症となります。言葉が出てこず、あれやこれといった表現が多くなる事があります。はっきりしている時と、全く理解が出来ない時が出る、まだら認知になる特徴があります。また泣いたり怒ったりしやすくなるなど、感情が不安定になりやすく、集中力がなくなります。
アルツハイマー型では失認や視空間失認が起こりやすくなります アルツハイマー型などでは、ドアなどが見えているのに、部屋から出られないとグルグル部屋を回っていたり、本人の目の前にある物を取って欲しいと言っても、言われたものと目の前にある物が結びつかず、取れなくなったりします。若年性アルツハイマーを家でチェック出来る方法として、時計を書いてもらうというのがあります。時計の文字盤を書いてと言っても正確に書けません。また何時何分と指定して、針を書いてもらっても正確に書けない事が多くなります。
レビー小体型では幻視やパーキンソン病症状が見られます レビー小体性では高齢者の症状と同じく、幻視を訴える場合が多く、何もない所に向かって話しかけたり、怒ったりするため、精神疾患と間違われる場合もあります。また手が震えたり、動きが遅くなるパーキンソン病に似た症状が見られやすくなります。
早期発見と早期治療が肝心です 若年性認知症は高齢者の認知症よりも、進行が早いと言われています。また早期発見し治療を行う事で、症状の進行を遅くするなどが期待出来ますので、早期に受診する必要があります。ただ本人が自分でおかしいと気付く事は難しいため、家族や会社の同僚、仲の良い友達などがおかしいと気付き、受診を勧めるようにするほかありません。認知症専門病院などでの受診は、本人が納得しない限り難しいので、CTやMRIなどの検査が行える設備が整っている、神経内科や物忘れ外来などがおすすめです。受診の際は、必ず家族も付き添って下さい。
介護保険や自立支援医療制度を利用する ために若年性認知症は、男性が多く若い為に暴力や介護拒否などが見られたら、介護者が対応しきれなくなり、介護負担が大きくなってしまいます。40歳以上では、介護保険が利用できますので、対応が困難になった場合は、デイサービスやショートステイなどの利用も考える方が良いでしょう。
また、若年性認知症の人は退職に追い込まれて家計の危機に陥ることもあります。
そこで、働き盛りで発症し、経済的な苦境に陥りがちな若年性認知症の人を支援するのが、
【
若年性認知症支援コーディネータ】です。
国は、本年度より2年間をかけこの
【若年性認知症支援コーディネーター】を全都道府県に設置し、
就労継続や、
社会保障制度利用のための手助けをします。
また40歳未満でも、自立支援医療制度が利用できますので、市などの福祉担当課などに相談してみてください。